柩をそのまま納める単体型の「ペルソナ-77」と、複数の遺体を収納でき、施設に合わせてオーダーメイドで設置する「ペルソナご遺体ホテル」がある。葬儀会社や寺社、病院、老人ホームなど全国各地に納入実績がある。火葬施設のない沖縄県内の離島でも、一時保管用に活用されているという。
「ドライアイスや冷凍設備で一度ご遺体を凍らせてしまうと、細胞が壊れてしまい、ご遺体の状態も悪くなります。『ペルソナ』では、触っても生前と変わらない柔らかさがあり、顔色も変わらず、きれいなお顔を保つことができます」
遺体の搬送サービスを手がける「メモリーサポート」(東京都八王子市)も、「ペルソナご遺体ホテル」を導入した会社の一つ。17年に18体分を導入し、年間のべ1千体の一時保管を行う。
「平均3~4日、長い時は10日くらいご遺体をお預かりしています。ドライアイスの使用時よりも明らかにご遺体の状態がよく、お化粧のノリもいいので、ご遺族にも好評です。設備の初期投資はかかりましたが、ランニングコストは月約2万円の電気代くらいで、ドライアイスよりも費用がかかりません」(メモリーサポート・マネージャー熊谷庄一さん)
家族葬のような簡略化された葬儀が主流となり、コロナ禍がその流れを加速させた。阪口さんは、よりよい別れのためには、「儀式」に重点を置くのではなく、遺体そのものへの関心が高まっていくのではないかと考える。
「柔らかくてきれいな状態で家族とお別れしたいと希望される方や、大切な家族である故人がドライアイスによる冷凍によって変わっていく姿を見たくない、という人は多いはず。終活の一環で、ご遺体の状態にこだわる人は、今後増えてくるのではないでしょうか」
(ライター・吉川明子)
※週刊朝日 2022年12月30日号