著者は北朝鮮に生きる人々の姿を収めた写真集を2012年に世に送り出した。それから5年。16年から3度再訪し、撮り続けた写真をまとめたのが本書だ。
華やかな服を身にまとうカップル、多くの自動車が行き交う平壌市内、立ち乗り電動二輪車に乗る若者たち。「北朝鮮」と聞いて、想起するものとは異なる光景が広がる。
もちろん、平壌市内から少し離れれば、貧しさを象徴する写真が多くなる。電灯ひとつない田舎道、舗装もされない道路。これらも、撮影が許された地域であり、今なお北朝鮮の暗部は小さくない。
ただ、経済制裁下でも、我々の想像以上に隣国は確実に変わり始めている。いかに向き合うべきなのか。「我々の認識こそが危機なのである」という言葉が心に刺さる。
※週刊朝日 2018年7月6日号