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 昨年の梅雨のころ、わが家の庭先にシャム風のが出入りするようになりました。近所の飼い猫ではないようです。8月末から姿を見せなくなり、ホッとした半面、事故にあったのではと案じていました。

 ところが、彼女は9月末に4匹の丸々した子をくわえて来たのです。華奢で育児放棄タイプと思っていたのに……。感動しました。

 しかし我に返ると、この年では面倒は見きれない、どこかに移ってほしいという思いに変わりました。早朝、カラスの騒ぐ声に、「これも自然淘汰。仕方ない」と身を固くしたこともあります。とはいえ、健気に子育てする母猫の姿に、心を鬼にする限界を感じました。

 そこで、これ以上殖えないよう、取り急ぎ避妊手術をしてもらうことにしました。1匹ずつ罠にかけるので、随分手間がかかります。最後に母猫の手術がすんだ時は精根つき果てました。

 子猫たちは、すぐ懐きました。キジトラ3匹に1匹だけ交じった黒白の子が、落ち込んでいる兄弟に寄り添ったりなめたりする仕草を目にすると、優しい言葉が聞こえてくるようです。

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