はっぴいえんどが青春だった人にも、後から知った人にもお薦めの一冊。名だたるミュージシャンを間近で見てきた著者による、日本ポップス黎明期をふりかえる証言記録だ。
音楽プロデューサーという職業認識が日本に根付いたのは70年頃だという。レコード会社の意向に縛られずに自らの音楽を作る。そう宣言すべく、加藤和彦や大滝詠一は自身をプロデューサーと位置づけ業界を変えていった。大滝の音作りに対する情熱と洋楽への造詣の深さを示す挿話は印象的。洋楽の「パクリ」だという声に「似ている曲が16曲あるんだから全部言ってみろ」と怒っていたのだとか。その他、山下達郎に出会った時の衝撃、坂本龍一と忌野清志郎の共作の裏話などが時おり熱を帯びて語られる。本書は音楽に情熱を燃やした著者の青春記でもあるのだ。
※週刊朝日 2017年3月10日号
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