
事故現場は見通しが悪い場所
知床財団の調査速報によると、今回の事故では、母グマは子グマを守るために男性を攻撃したようだ。被害者がヒグマと遭遇したと推定される地点は、オホーツク海が望める岩峰(通称、560メートル岩峰)の南側だ。日当たりのよい岩峰付近には、アリの巣がたくさんあるという。
「夏になると、それまでエサにしてきた植物が硬くなるため、アリの巣を掘って、幼虫やさなぎを食べるクマがこの場所に集中する」

登山道はその脇にある。事故現場は岩峰の陰で木々が迫り見通しが悪い場所だった。
「登山者が母子グマに気づかずに接近したら、母グマは威嚇します。不用意に子グマに近づいてしまったら、母グマは攻撃してくるかもしれない。そういう状況に非常になりやすい場所でした」
死亡事故発生以来、羅臼岳にいたる登山口は閉鎖され、再開のめどは立っていない。
クマと遭遇する可能性がある場所を通る際は、万が一クマと鉢合わせした場合の対策を知っておきたい。
(AERA編集部・米倉昭仁)
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