横浜・織田翔希(写真/日刊スポーツ)
横浜・織田翔希(写真/日刊スポーツ)

センバツで全国制覇を果たした右腕

 菰田と共に前評判が高かったのが、「松坂大輔2世」と評される横浜の織田だ。名門校で1年夏から甲子園に登板し、今年のセンバツでは5試合に先発で防御率2.16。全国制覇に貢献した。この夏は胃腸炎によるコンディション不良に見舞われたが、1回戦の敦賀気比、3回戦の津田学園戦で完封勝利をマークした。身長185センチの長身から打者の手元でホップするような直球に、スライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜて打者を打ち取る術を知っている。準々決勝の県岐阜商戦は4回途中6安打2失点で降板し、試合も敗れたが、世代屈指の右腕への評価は変わらない。

「スラリとした体型から肩、肘の関節が柔らかくて力感のない投球フォームから手元でピュッと伸びる球を投げる。松坂大輔より、楽天やマリナーズなどで活躍した岩隈久志を連想させます。このまま順調に成長すれば、間違いなく来年のドラフト1位候補になる。体作りの期間が必要ですが投手としての総合力が高いので、プロの舞台では菰田より頭角を現すのが早いかもしれません」(パ・リーグ球団のスカウト)

 プロのスカウトの評価が上がったのは、菰田、織田だけではない。県岐阜商の柴田は3完投とタフネスぶりを発揮。走者を背負いながらも決定打を許さない粘りの投球が光った。甲子園初出場の聖隷クリストファーのエース左腕・高部も3回戦・西日本短大付属戦で8回9奪三振2失点の力投。制球力に自信があるのだろう。外角の球の出し入れが絶妙で、快速球、カットボールで三振を奪った。

 沖縄尚学の最速150キロ左腕・末吉も強烈だ。初戦の金足農戦では14奪三振で完封勝利。3回戦の仙台育英戦では自己最多の169球を投げて12三振を奪い、11回9安打3失点で今大会2度目の完投勝利。菰田と投げ合った準決勝・山梨学院戦は6回途中4失点で降板したが、逆転勝利で決勝進出した。

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