
「石破さんにはそういうことをしてくれると、期待していたんです。永田町にいた3年間で“なんて古いところなんだ”というのは率直な感想で、若手を登用し、国民の共感を得られるような刷新が必要だと思っていたんです」と保岡氏。
だが、蓋を開けてみれば――。石破政権の組閣や党内人事は、理想とはほど遠かった。
「党の長老や重鎮が起用され、石破さんは自ら手足を縛っていると感じましたね。党内基盤が不安定だという党内事情もあったのでしょうが……」
石破氏率いる自民党は、昨年10月の衆院選、今年6月の都議選、7月の参院選と3連敗を喫した。そして参院選後に繰り広げられているのは、旧安倍派など「裏金問題」の震源地を中心とした「石破おろし」の動きだ。
「私は『政治家の出処進退は自身で判断する』というのが筋だと思います。それ以上でも以下でもない」
日本を担えるのは…
地元・鹿児島からは現在の自民党がどう見えるのか。
「若い方からの信頼を得られなくなっているな、というのが私の肌感覚」と話し、こう続けた。
「私が変えたいと思っていた『政治とカネ』に象徴されるような昭和の政治を、令和の感性に合った政治に変えていくことができていない」
保岡氏は自民党の谷垣偵一元総裁や石橋湛山元首相といった穏健な保守に共感を覚えている。
「それも左に見られてしまいかねないような状況がある。保守のウイングがだいぶ狭くなってきていて、安倍晋三元首相を支持していたような、右寄りが保守という雰囲気があるように感じます」
今年11月に自民党は結党70年を迎える。
「今のところ、いいけじめの年とは言えない感じです。自民党が信頼を取り戻すことができるのか、それともここで違った方へ行ってしまうのか、正念場だと思います。自民党が変わることが、政治が良くなる一番の近道だと私は思っています。日本を担えるのは、自民党しかないと思っていますから」
(AERA編集部・上田耕司)
こちらの記事もおすすめ 「石破おろし」の布石となった自民党“裏金議員”ら5人の会合 麻生内閣と同じ「自滅の道」をたどる?