
そんなある日、(いずみたくと永六輔がモデルと思われる)作曲家のいせたくや(大森元貴)と演出家の六原永輔(藤堂日向)が、ミュージカル「見上げてごらん夜の星を」の舞台美術を頼むため、嵩の自宅を訪ねてきた。たくやは、嵩が描いた百貨店のポスターを思い出し、声をかけたのだ。
蘭子は嵩と永輔は馬が合わないのではとにらむ。だが、嵩の才能を見てくれていた、たくやの言葉に、のぶは嬉しくなり「たっすいがーはいかん」と背中を押す。嵩は流されるように仕事を引き受ける。稽古場では永輔が「いいものを作るためですから」と開演前日まで修正を重ね、本番は大成功。嵩には、「漫画家」の枠を超え、求められる場所で力を発揮する「表現者」への脱皮が垣間見えた瞬間だった。
突然の停電の懐中電灯から?
永輔からは「人を描ける」と評価され、たくやからは新たに作詞の依頼が届くが、嵩は戸惑いを隠せない。のぶは「やってみたらええが」とまた背中を押すが、嵩は「漫画家は漫画を描くべきだ」と拒み、2人はぎくしゃくする。
嵩は漫画を描きたい一方、「人から求められること」にも喜びを感じるタイプだ。だが漫画家・柳井嵩の可能性を信じてくれている、のぶの期待に応えるために漫画に専念したい。思うがゆえのプライドが、のぶを傷つけているというジレンマがいじらしい。そして2人が和解した100話では、突然の停電で懐中電灯の出番となった。そこで手を照らしたことで、嵩はある着想を得るのだが……。
「救うよりそばにいる」「寂しい人、BONはあなたの友人です」。嵩が描く、メイ犬BONの言葉だ。嘘と弱さを抱えたのぶと嵩は、お互いを救うのではなく、ずっと一緒にいることを選んだ。
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