
ハーバード大の留学生受け入れ資格停止
ハーバード大学はマサチューセッツ州にあり、大学の世界ランキングでは常にトップクラスに入る名門中の名門だ。出身者のノーベル賞受賞者は160人で世界一、ジョン・F・ケネディやバラク・オバマなど歴代の大統領を輩出している。
だが、今年5月、トランプ大統領がハーバード大学の留学生の受け入れ資格の停止を通告した。在学中の留学生が他大学に転出しない場合はアメリカでの滞在資格を失うことになるという。ハーバード大は学生全体の約30%に当たる約6800人の留学生が在籍するが、トランプ大統領は留学生の割合は「15%程度に下げるべき」とも主張する。ハーバード大学への進学希望者が、外国人学生がいるためにできないケースがある。アメリカ人の入学希望者を優先すべきだと主張しているのだ。
大学側はすぐに憲法違反として提訴したが、エリザベ―ト王女に話を戻せば、大統領の通告に対して「ロイヤルだからといって特別扱いされるのは避けたい」として、他の留学生と歩みを共にすると話す。「自分の特権を行使することは極めてデリケートな問題である」と承知しているのだ。つまり自分の下す決定は、アメリカとベルギーの国際関係にまで影響を及ぼすかもしれないときちんと理解しているのだ。エリザベート王女は現在はベルギーに帰国したと言われているが、またアメリカに戻り勉学を進めるのか、ベルギーで学ぶのか、今後の選択が注目されている。

国王は”娘の成長を見守りたい”
今年6月、ベルギー王室は、フィリップ国王の誕生日にちなんで、国王のインタビュー動画を公開した。国民から寄せられた2500件以上のメッセージの中から選ばれた30の質問の中に、「国王の譲位の可能性を問う」があった。国王の返答は「エリザベートに、青春を楽しみ自分を成長させ世界を見る時間を持たせなければいけない。娘に必要な時間を与えるためにできる限りのことをする」というものだった。
フィリップ国王の父、アルベール2世は健康上の理由から79歳で退位を発表。自ら退位した同国初の事例で、それを受けてフィリップ国王は53歳で即位している。そうした事情から出た質問だったと思われるが、明確な退位の予定は否定して、娘の成長を見守りたいという愛情あふれる絶妙な返答だった。
エリザベ―ト王女は国民の人気がきわめて高い。そして、両親の温かいまなざしの中で「その日」のために自分を磨き、今後も信頼を得ていくことだろう。
(ジャーナリスト・多賀幹子)
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