撮ったらすぐ自己表現できるのが写真
向井 蜷川さんのカメラのきっかけはなんですか?
蜷川 私はね、家には普通のコンパクトカメラしかなくて。だからカメラのきっかけは、よくわかんないんだよね。でも、父が演出家で、母親が女優だったので、環境的に、何か私もクリエイティブなことをやりたいな、みたいなところがあって。
向井 そういう影響もありますよね。
蜷川 そう。そのなかで、写真って、撮ったらすぐ自己表現ができるじゃない? 当時はフィルムだからいまよりちょっとハードルは高いけど、表現したい欲求みたいなのをすごく簡単に満たしてくれる。例えば、油絵描くとかだったら、技術が必要じゃない?
向井 そうですよね。油絵はね。
蜷川 ダンス踊りたいとかも、大変じゃん? でも写真だったらすぐに自分がやりたいことがダイレクトにできると思って、家にあったカメラで撮りはじめたのが最初。いわゆる記念写真じゃない写真。バービーを鬼押出し園っていう溶岩に持っていって撮ったりしてたのが小5。
向井 やっぱり小5!
蜷川 うん。なにか表現したい、っていう、スペシャルなものが、写真だった。
向井 蜷川さん、もうそんときから大人な考えなんや……。僕はもう、機械が好きで。
蜷川 いや、だからたぶん向井くんのほうがカメラ詳しいよ。私、全然わかんないもん(笑)。
向井 いや、僕も、長年やってるけど、わからんことだらけです。カメラは、正直。
蜷川 でも絶対私より……って、自慢してもあれだけど(笑)、私はそんなに機材好きじゃないんですよ。ずっとそのミノルタ使ってたし、そのあとコンタックス買ったけど、35ミリ(レンズ)とマクロ(レンズ)だけでしばらく撮ってて(笑)。
向井 イチカメやん!(笑)
蜷川 大人になってやっと、50(ミリレンズ)もいいかしら、みたいになって。
向井 あー! ちょっとずつね。機材も増えて。
蜷川 そう、いまもそんなに機材多くないんじゃないかな。
撮影では、プロジェクターで画像を壁に映して背景にする、モノクロ写真に挑戦。「モノクロ楽しい、ひさしぶりに」という向井さんと、「じつは私、モノクロ好きなんですよ」という蜷川さんが、お互いに撮り・撮られる姿、蜷川さんが撮影する「フィルム・ノワールみたい」な「危険度高い」向井さんや、向井さんが撮影した蜷川さんの「主演ポスターみたい!」な写真など、AERA7月28日号でご覧ください。
また、現在配信中の主演ドラマに関連して、映像作品に関わる蜷川さんとだからこその、日本とタイのドラマ現場の違いに関するトークもお読みいただけます。
(編集部・伏見美雪)
にながわ・みか/写真を中心として、映画、映像、空間インスタレーションも多く手がける。木村伊兵衛写真賞ほか受賞多数。2016年から「AERA」表紙フォトグラファー。「さくらん」(07年)、「Dinerダイナー」(19年)をはじめ長編映画5作などを監督。個展「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」は25万人を動員。最新写真集に『Eternity in a Moment vol.1-3』
むかい・こうじ/1994年生まれ、奈良県出身。Snow Manのメンバーとして、2020年1月にCDデビュー。Snow Manの12thsingle「SERIOUS」発売中。個人として、主演ドラマ「Dating Game~口説いてもいいですか、ボス!?~」がタイで放送中、日本では映像配信サービスLeminoで配信中。10月31日、森崎ウィンとのW主演映画「(LOVE SONG)」公開
※AERA 2025年7月14日号より一部抜粋
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