
日本看護協会は「看護職員の賃金に関する実態調査」の結果を発表した。看護職の賃金に特化した大規模調査は前回の2012年調査以降12年ぶり。前回の調査から、基本給の増加は約6千円にとどまり、業務に見合わない賃金の低さが浮き彫りになった。
* * *
同協会(会員73万人)が、24年時点の看護職員の評価や処遇などの現状と課題を把握するために、今年1~2月に実施。8089の病院、4千事業所の訪問看護ステーション、1万5千人の個人の三つを対象に調査した(有効回収率は34.4~42.9%)。
看護職員の賃金をみると、病院勤務者の平均基本給は月額26万451円。12年より2.3%(5868円)増えた。基本給に手当などを加えた税引き前の平均給与総額は38万2093円で8.5%(2万9936円)増だった。年齢の上昇とともに緩やかに上昇するが、50~54歳でやや減少に転じている。
役職が上位になるほど、平均年収も上がる傾向にあり、病院の管理職(看護部長・副院長相当職など)は818万594円、訪問看護ステーションでは経営者が736万4685円だった。
看護3年課程卒の若手看護師の賃金と離職率の関係をみると、基本給与の月額が17万5千円未満は離職率が16.9%。17万5千円~20万円未満は同9.5%、20万円~22万5千円未満は同8.7%となるなど、給与額が低いほど離職率が高くなる傾向が明らかになった。
また、看護職員に支給する給与を一覧にした「賃金表」がある病院は、全体の75.0%。その賃金表を「公開している」のは54.0%だった。病床規模が大きくなるほど賃金表があり、公開している割合が高くなっている。
賃金表の有無や公開・非公開は離職率に影響している。「賃金表がない」と答えた病院の離職率(正規雇用看護職員)が12.7%なのに対し、「賃金表がある」病院の離職率は10.9%だった。
また、賃金表を「公開していない」病院の離職率は13.1%なのに対し、「公開している」病院の離職率は9.9%。賃金についてオープンな姿勢の病院のほうが、離職率が低くなる傾向が見て取れた。
賃金額についての満足度は、病院勤務者では「満足」「やや満足」は計11.8%にとどまった。12年調査では「満足」「やや満足」で計25.5%あったが、大幅に減少している。