占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
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AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:穏やかで落ち着いた人でなく、何か面白いものを秘めていたり、マニアックなこと、表現活動を自分だけで謙虚にしているような、独特な人ばかり好きになってしまいます。が、大体うまくいきません。感性が豊かで、些細な日常がより深くなることがわかっているので、こういう人と結婚したいんですが、だいぶ失敗して今に至ります。どうしたらいいですか。(女性/事務職/34歳/やぎ座)

A:この相談者さんが応援しているような、表現活動をしている人のカテゴリーに、もしかしたら僕自身も入っているのかもしれません。その立場から、ある経験をお伝えしようと思うんですが、僕はかなり前に今のマネジャーをSNSでスカウトしました。マネジャーは当時、あるブログを書いていて、そのブログがとにかく面白かったんです。自分の周りの人たちをすごく丁寧に観察して、それを面白おかしく表現したブログで、文字数が多くてもあっという間に読めてしまうような。なんだこの人はと思って、ちょっと一度お会いしてみたいと言って、そこからマネジャーをしてもらっています。

 表現活動やクリエイティブな活動をしている人たちの燃料とか原動力は何かと言うと、「狂気」です。

 マネジャーの当時のブログにもちょっと狂気的なものを感じました。

 そういう人たちとプライベートで仲良くなりたいと思うならば、戦略的に自分の狂気の部分を表現していくのが近道ではないかと思います。

 例えば、単純に「カレーが好きな人」と「カレー研究家」の違いは何か、考えてみましょう。カレー研究家は365日3食カレーでも大丈夫、みたいな人。普通の人だったら、どんなにカレーが好きでも10日が限界。それが365日いけちゃう人はやっぱり狂気の域に一歩踏み込んでいるし、それが自分の表現になり仕事になっていったりするのだと思います。

 僕も含めてですが、彼らは自分の弱点も理解していて、どう世の中にアピールすればいいのかわからず困っている場合も多いです。そういうときに「狂気を持ちながらも、ちゃんと会社員をしていたり、礼儀作法や社会の手順を知っている人」はパートナーとして重宝されます。

 ただし、結婚したいという「下心」は完璧にコーティングしてください。狂気の側に足を踏み入れるのは、相当疲れるし、そういう相手とぶつかり合うのにはエネルギーも消耗します。その覚悟がないのであればやらないほうがいいかもしれません。

 やぎ座は「表現者」寄りで、自分の思い込みで作品を作り上げていくことができる人です。近づきたい人たちに匹敵するぐらいの表現の力を、コツコツと磨いていくと、面白いことが起きるんじゃないかなという気がします。

AERA 2025年7月28日号

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