
京都を訪れる日本人が減っている。2025年5月の京都市観光協会データ月報によると、5月1カ月間の日本人延べ宿泊数は34万5074泊と前年同月の10.9%減。日本人の京都訪問意向「行こう指数」の値も95.0(2023年と2024年の平均値を100とした場合)となり、前年同月の105.5を10.5ポイント下回った。外国人観光客の急増で「オーバーツーリズム」が叫ばれ、混雑がひどいならちょっと……と思っている日本人が多いことの現れだろう。
それでも、やっぱり京都に行きたい! という人のために、知る人ぞ知る京都の「穴場」スポットを紹介したい。「&TRAVEL」編集部が、6月中旬に実施されたJR東海(東海旅客鉄道)による2025年夏「そうだ 京都、行こう。」のプレスツアーに参加し、実際に訪れて「穴場」を実感した4カ所だ。
今だけ「特別公開」中! 美と静寂が佇む「妙心寺」
妙心寺は臨済宗妙心寺派の大本山で、京都駅から電車で10分ほどの花園地区に位置する。狩野探幽の「雲龍図」で知られるが、広大な敷地内に点在する46の塔頭寺院(たっちゅうじいん/禅宗寺院で本山の敷内に建てられた小寺院のこと)も見どころの一つ。2025年の特別公開(8月31日まで)では、通常は非公開の塔頭寺院の一つ「天球院」を特別に公開している。
天球院は、岡山藩主・池田光政とその弟・光仲が、大伯母・天久院のために1631(寛永8)年から1635(同12)年にかけて建立した寺院だ。本堂は江戸時代の禅宗寺院に見られる建築様式を色濃く残す貴重な遺構として、障壁画と共に重要文化財に指定されており、今回の特別拝観では、住職の解説付きで「方丈」と「書院」を案内してくれる(プランによって案内場所は異なる)。