では、意見の異なる相手に自分の話を聞いてもらうにはどうすればいいのか。シャーロットによると、相手の脳をライトアップして自分の意見を受け入れさせるには、開口一番、否定の言葉を口にしないこと。
たとえ相手と意見が食い違っても、「私はそう思わない」「あなたは間違っている」といった言葉は口が裂けても言ってはいけない。その代わり、互いの共通点、相手に賛同する点、相手の主張で自分が理解できる部分などを伝える。
相手に賛成する点、意見が同じ部分などから話を始めれば、自分の強い主張、正しい論理、重要な証拠を受け入れてもらえる可能性が高まる。
この法則3(口が裂けても反論しない)は、交渉や演説できわめて効果的で、営業、ビジネスリーダー、そしてパートナーとして成功するための重要なスキルだ。
TED動画の再生回数1億回を誇る、スピーキングとコミュニケーションのコーチ、ジュリアン・トレジャーや、マッチングと恋愛のエキスパート、「愛のドクター」ことポール・ブランソンにインタビューをした際、2人とも同じことを言っていた。コミュニケーションや会話を円滑に行い、すばらしいパートナーとなるには、まずは相手が「聞いてもらっている」と感じるように聞き役に回り、それから相手が「理解されている」と感じる口調で答えることが肝心だという。
ターリ・シャーロットによる神経科学の研究は、こうした「聞いてもらって理解されている」と感じさせるアプローチが、相手の考えを改めさせるのに必要不可欠であることを裏づけている。
私たちの考えが最も変わりやすいのは、相手と話題の98%が一致する場合だという。きちんと理解されていると感じて、もっと話を聞こうとするからである。
法則 口が裂けても反論しない
交渉、討論、白熱した議論の場では、相手と共通する意見や動機を探すこと。それが見つかれば、相手はあなたの意見を受け入れ、考えを変える可能性が高くなる。
[言葉は関係性の壁ではなく、理解の架け橋となるべきだ。なるべく異を唱えず、相手をもっと理解するよう努めよう。]