
東証が公表している「事例集 プライム市場編」に掲載されている42銘柄は投資対象として有望か? 東証に本資料の背景を聞くとともに、42銘柄についてランキング表で掲載しつつ、金融ジャーナリストの岡村友哉氏に取材した。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】
【ランキング表】1位は配当利回り5.35%! 東証の事例集に載った42銘柄はこれだ
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資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を上場企業にお願いしている東京証券取引所(以下、東証)。
2024年11月には機関投資家から評価の高かった企業の取り組みを紹介した「事例集プライム市場編」の改訂版を公表した。
そもそもこの資料は何なのか? まず、東証は300以上の機関投資家などと面談している。東証と面談した投資家が「資本コストや株価を意識した経営の実践」という面で実際に評価している企業と、投資家側の評価ポイントをまとめたのが「事例集プライム市場編」だ。
つまりこの資料は「東証が名前を挙げた銘柄集」ではなく「投資家側が評価している、現在もろもろ取り組み中の銘柄リスト」である。
東証はなぜ公表?
投資家側の評価項目は、「投資家の視点から資本コストを捉える」(現状分析・評価)、「株主・投資者の期待を踏まえた目標設定を行う」(取り組みの検討・開示)、「経営陣・取締役会が主体的かつ積極的に関与」(株主・投資者との対話)の3項目、計12の観点。
「東証では資本コストや株価を意識した経営を推進したい上場企業に、『どういった取り組みや開示が投資家から評価されているか』の参考例を示すことができればと考えて事例集をまとめました。
特に規模が小さな企業は経営改革への対応が大変な面もあります。同じような規模の企業の取り組みを紹介することで『がんばる意思はあるが、何からはじめれば……』という企業のフォローアップができればと。
資本コストや株価を意識した経営の実現を、一過性のテーマではなく上場企業の意識の中に根付かせていきたいです」(東京証券取引所金融リテラシーサポート部課長/吉田貴弘さん)
東証は『投資者の目線とギャップのある事例』もネットで公開。どちらの事例集も前向きな有望株を見つけるうえで最高の資料、と本誌は勝手に思っている。
