神戸国際会館(筆者撮影)
神戸国際会館(筆者撮影)
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 先週に多く読まれた記事の「見逃し配信」です。ぜひ御覧ください(この記事は「AERA DIGITAL」で2025年6月25日に配信した内容の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)。

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 6月25日に喜寿、77歳の誕生日を迎えた沢田研二。現在はライブツアー「霜柱と蝋梅の森」の真っ最中だ。筆者は誕生日直前となる6月21日の神戸国際会館公演を取材。約2時間のパフォーマンス、MCの模様を紹介したい。

 今回のツアーの目玉は新しいバックバンド。昨年、バンドの刷新が発表された際はファンの間に衝撃が走った。特に1980年以来バックを務めた柴山和彦(ギター)が外れることに違和感を持ったファンは多く、SNS上ではあからさまな不満の声も見かけたものだ。

 しかし、良いように解釈すれば新バンド結成は沢田の音楽的意欲の高まりの証だろう。斎藤有太(キーボード)を中心に、長田進(ギター)、フジイケンジ/真壁陽平(ギター※ダブルキャストでいずれかが出演)、富倉安生(ベース)、古田たかし(ドラム)と近年のロックシーンで高い評価を受けるメンバーで固められており、彼らを知る層からは大きな期待が寄せられていたのだ。

 白いスーツとサングラスというダンディーな装いで沢田はステージに登場した。今回のライブは、1990年のアルバム「単純な永遠」に収録されたロックナンバー「a・b・c…i love you」、水平のようなマリンルックがまぶしかった1978年の大ヒット曲「ダーリング」からスタート。腹の底から絞り出すようなシャウトと、ステージ上を所狭しと動き回るパフォーマンスは健在だった。

 以降、「憎みきれないろくでなし」(1977)、「サムライ」(1978)といったヒット曲や佐野元春からの提供曲「すべてはこの夜に」(1984)、「彼女はデリケート」(1980)、1990年代以降のセルフプロデュース曲「君のキレイのために」(2000)など、ロック色の強い楽曲が目白押し。新バンドとのタイトかつ息の合った演奏に、会場は、アリーナはもちろん3階席の後ろまで終始総立ちの熱狂ぶりだった。

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