中学受験では国際教育に力を入れている中高一貫校が人気を集め、卒業後に海外大学をめざす生徒も増えています。一方、早くから国際的な環境で子どもを学ばせようと、インターナショナルスクールを考える保護者もいます。これまで交わらなかった中学受験の人気校とインターナショナルスクールが一堂に会する保護者向けのイベント「国際教育フェア」が、日本、シンガポール、マレーシアの3か国で開かれました。パネリストとして参加した教育アナリストの井上修さんが、イベントの様子をリポートします。
「進路の多様化」を象徴
国際教育フェアは各会場とも多くの参加者を集め、イベント、各校のブースとも熱気に包まれました。2025年は5月17日の東京、18日の大阪に続き、5月31日にシンガポール、6月1日にマレーシアでも開催。海外では多くの在留日本人の保護者と子どもたちで賑わいました。東京では約1500人、大阪では約900人が来場しました。
国際教育フェアの最大のポイントは多様なタイプの「学校」が集まっていることです。もともとはインターナショナルスクールや海外校だけのフェアだったのですが、一昨年から一条校(学校教育法第1条に基づき、国が正式に認定した教育機関)の参加が始まり、今年からはより多くの一条校が参加しました。
東京会場では聖光学院、武蔵、鷗友学園女子、洗足学園や渋谷教育学園渋谷など、中学受験では難関校とされる私学をはじめ、東京、神奈川、茨城の私立中高一貫校、私立高校、埼玉・東京の私立小学校、そして東京学芸大学附属国際中等教育学校など、国立大学附属校も参加し、一挙に幅が広がりました。また前述の難関校のなかでも、聖光学院はイギリスのハロウ校、武蔵はラグビー校との校長対談を行いました。これはかなり歴史的な出来事です。
従来、一条校たる私学を中心とした中学受験とインターナショナルスクールを目指す保護者層は別の「世界」に生きていました。ただ、近年は広尾学園や三田国際科学学園のように国際色を前面に押し出した私学が高い人気を得ていて、状況は徐々に変化していました。それが今春のフェアでは双方の「世界」が相当混じり合った感があります。
