
「楽天・インデックス」というシリーズ名より「楽天・全米株式インデックス・ファンド」のほうがなじみ深いだろう。
一世を風靡(ふうび)した低コスト投資信託の古株だ。その生みの親が東社長だったとは。
インタビュー冒頭で、東社長に財布を見せてもらった。
中身は現金3万6000円、お約束の楽天プレミアムカード、ヨドバシカメラのゴールドポイントカード、2024年末の忘年会でもらったという宝くじなど。
「円」以外に米ドル紙幣で30ドル、カナダドル紙幣で80ドルも入っていた。
「外貨もいつも財布に入れています。現地で何かあっても安心かと」
リモート会議ができるようになって頻度は落ちたが、「年2回は打ち合わせや情報収集のため海外出張をします」。
財布はラルフローレン。「5年くらい使っているかな。どこで買ったか忘れてしまいました」と特にこだわりはない様子。
この日の昼食は社員食堂でシーフードのペペロンチーノ。たいてい社食でパスタを食べる。
「僕の好みと比べて味が薄いんですけど、くどくないから飽きないのがいいところかな」
楽天投信は東京・青山の一等地にあるが、おしゃれなランチより、さっさと食べて次の仕事に備えたいタイプのようだ。
学生記者が運用の世界へ
東社長は東京工業大学理学部数学科を1985年に卒業した。
「在学中は学生新聞に没頭していました。費やした時間は数学科の勉強よりも長かったです。
部室にいたり、自宅で原稿を読んだり、印刷所に行ったり。東工大生を採用したい企業から広告も取ってきましたよ」
卒業し、東社長の最初の勤務先は大手銀行系シンクタンクの調査部門だった。
「官公庁の委託調査を請け負う部署です。学生新聞が楽しかったので、文章で自分の思いを表現する仕事がしたかったんですが……」
東社長は「最初の職場の仕事自体も人も好きだった」と言うが、入社1年を目前に辞めてしまう。
「もっと広い世界を見たい。そう思って日興證券(当時)の門をたたきました。数学やコンピューターはもういいから、今後は自分の足で調査するんだと。
ところが、入社してみると数学や統計学を金融に応用する『クオンツ』をやってみないかと言われ……」
