[撮影:蜷川実花/hair & make up 滝波一樹(GON.)/styling 和田ユキヨ/costume Yohji Yamamoto POUR HOMME]
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 タレント、アイドル、そしてビジネスパーソンとしての顔を持つSUPER EIGHT村上信五さん。思い描く人生について語った。AERA 2025年5月19日号より。

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──撮影でも、インタビューでも、朗らかな“いい表情”をしていた。近年は、農業スタートアップ「ノウタス」に“ジョブ型サラリーマン”として参画したり、NPO法人「チャリティーサンタ」で新たなプロジェクトを手がけたりもしている。活動の範囲がこれまで以上に広がり、日々充実し、内面が豊かになっているのではないかと尋ねると、「僕自身はまったく変わっていない」と即答した。

“空想”が楽しい

 テレビでのスタンスも大阪を拠点としていた頃から変わっていないですし、関西弁もそのままですからね。もちろん、年相応の言葉遣いをしなければとは思うので自分なりに微調整はしていますけれど。

 いまは本当にありがたいことに、「村上君、本を書いたんだって」「どんな内容の本を書いたの?」と声をかけられるようになったので、異なる視点から興味を持ってくださる方が増えたのは確かかもしれません。

 農業やNPOという、これまでとは違う社会の一面を見たことで受ける刺激ももちろんあります。けれど、「日本の農業を変えてやる!」といった大きなことを考えているわけではないですし、僕が完全にそちらの世界に根を下ろすというよりは、基本軸はこれまでと変えぬまま、手の届く範囲で、できることを吸収していきたい。「どんなことができるのだろうな」という“空想”がいまはちょっと楽しいな、と。

 エンタメ界も、NPOの世界も、僕が少しでも携わることによって、“なんかいい感じ”になったらいいな、と思うんです。人間関係もそう。僕自身がゆるゆると楽しみながら、結果として社会が良くなっていったらいいな、とは思いますね。

 直接的で具体的な目標を立ててしまったら、それに向かってしか進めなくなるから逆に視野が狭まるのではないか、という気もするんです。そこは唯一変わったところであり、年齢と経験が作ってくれた“余裕とゆとり”と言えるかもしれないですね。10代の頃は、「グループを作って、デビューしなければ」ということが最大の目標であり、そこに縛られていたところもあったと思う。その目標がクリアできたことが大きいかもしれないですね。

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