

孤立死の4人に1人が現役世代――。孤立死・孤独死といえば高齢者のイメージが強いが、働く世代にとっても切実な問題であることが、内閣府が公表したデータから浮き彫りになった。
4月、内閣府の有識者会議は、「孤立死」に関する初の推計を発表した。自宅で誰にも看取られず亡くなり、死後8日以上経過して発見され、生前、社会的に孤立していたとみられる人を「孤立死」した人と位置づけた。
発表によると、昨年1年間に孤立死した人は2万1856人。年齢別では65歳以上の高齢者が1万5630人で全体の約72%を占めた。ただ、一方で、生産年齢人口(15~64歳)の「現役世代」も全体の3割近くを占めた。年齢別では50代が最も多く2740人(約13%)、続いて、40代の755人(約3.5%)、30代は189人(約0.9%)、20代は99人(0.5%)などとなった。
「現役世代は独身で未婚、地域とのつながりが希薄で、孤独死や孤立死への不安を抱いている、いわゆる『孤独死予備軍』の人が多数います」
アルコール依存症
こう話すのは、見守りサービスを提供する、エンリッチ代表理事の紺野功さん(65)だ。自身、弟を孤独死で亡くした。2015年2月、4歳年下の弟が都内のマンションの自室で死亡しているのが見つかった。弟はフリーのシステムエンジニアとして自宅で仕事をしていた。しかし、連絡が取れないのを心配した取引先の人が弟の自宅を訪ね、遺体を発見した。
警察から直接の死因は「低体温症」で、死後10日ほど経過していると伝えられた。51歳。独身で、一人暮らしだった。後日、紺野さんが荷物の整理のため弟の自宅を訪ねると、部屋はゴミ屋敷だった。趣味や仕事に関する書類やパソコン機器などで埋め尽くされ、4リットルの焼酎のペットボトルが飲みかけで2本置いてあった。ベッドに寝た形跡はなく、浴槽に水をためたり、シャワーを使ったりした様子もない。生活に困っていたわけではないが、暖房設備もエアコンもなかった。アルコール依存症で、セルフネグレクト(自己放任)状態だったと考えられるという。