「近年の仲さんのインタビューなどを振り返れば、女優の型にはめられることを嫌がっているのは自明だけに、月並みな質問ばかり投げかける番組スタッフにイライラしたファンも少なくなかった様子。また、番組の中盤以降は私生活や女優業以外の活動にも密着していましたが、これも『あまり魅力が伝わらない』などと物議を醸してしまったようです。

 ただ、彼女のように自身で私生活や仕事の裏側をYouTubeやSNSで明け透けに披露しているタレントの場合、テレビの密着番組がこれを超えるのはなかなか難しい。彼女に限らず、近年、個人で発信する芸能人がますます増えたことで、『情熱大陸』も『ただタレントに密着しただけ』では視聴者を満足させられなくなっているといえます」

「一番危なっかしい女が独立しましたー」

 現在、俳優として話題作に引っ張りだこの仲だが、デビューのきっかけは03年にアミューズが主催した少女漫画誌「ちゃお」とのコラボオーディション。ここで仲は特別賞を受賞し、芸能界入り。その後ファッション誌モデルとして活動をスタートさせた。

 そして06年以降は演技の仕事が増え、アミューズの看板女優の一人として活躍を続けてきたが、前述のとおり今年4月に独立を発表。仲は同12日公開のYouTube動画で「みなさーん。この一番危なっかしい女が独立しましたー」と元気に報告し、今後の活動について「『女優さんだったらこうだよね』っていうのを取っ払って、私らしく」「より自由に」と説明していた。

 仲のこれまでと今後について、芸能ジャーナリストの平田昇二氏が語る。

「仲さんはモデルから俳優業に進出後、映画『時をかける少女』や『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』、『土竜の唄 』シリーズなど多数の作品に出演し、『日本アカデミー賞』の新人俳優賞をはじめ多くの映画賞を獲得しています。その一方、YouTubeチャンネルでは家事や育児に励む姿など気取りのない素の表情やありのままの日常が表現されていて、多くのファンから支持を集めています。夫で俳優の中尾明慶さんとのおしどり夫婦ぶりも好感度の高さを後押ししていますよね。

 21年には自身がディレクションとデザインを手掛けるアパレルブランド『RE.』を立ち上げるなど以前からマルチな才能を発揮していますし、自己プロデュース能力にも長けている仲さんのことですから、独立後も肩書や業界の常識にとらわれない、良い意味で型破りな活躍を見せてくれるのではないでしょうか」

 ド派手な私服やフランクな語り口調から一見無鉄砲な性格に見えるが、実際は人一倍常識的で真面目な人柄がファンに知られている仲。大手芸能プロの後ろ盾をあえて外した彼女が、より輝きを増すことに期待したい。

(小林保子)

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