4月30日付の朝日新聞朝刊(首都圏版)に掲載された全面広告

 ――日経平均など市場全体の動きを表す代表的な指数との連動をめざすインデックス投信が根強い人気です。とりわけ最近は米国など外国の株式がもてはやされています。

「企業の経営者と話をすると、インデックス投信の場合、株主とコミュニケーションが取れないので『怖い』『気味が悪い』と言います。インデックスはリスクの分散という点では素晴らしい金融商品だと思いますが、経営者からすると、株主の顔を見て対話をしたいと考えているようです。私たちは単なる金融商品ではなく、投資してその企業を応援したい気持ちを大切にしています」

 ――広告に「現金比率を高めます」とあります。これはどういう意味ですか。

「株価が下落することに備え、(投資先を含めた)資産のうち現金の割合を高めています。いまは2割ほどです。フルインベストメント(すべてを投資に回す)すべきだという考え方もあると思います。しかし、余裕資金をもって株価が下がったところで買いに行くことが大事です。そのための資金です。リーマン・ショックのときなどで、その有効性は実証済みです」

 ――とは言っても、現金を持つことに疑問を持つ顧客もいるのでは

「比喩ですが、現金を持つことは災害に備えることと同じです。防災用品を備蓄しておくと部屋の一部が使えなくなりますが、いざ地震が起きた時にすごく役に立つのです」

「もちろん『無駄だ』『投資しろ』という声もあります。あるセミナーで『(さわかみ投信が得る)信託報酬もそれからとられている』との指摘も出ました。その人は分かってくれましたが、株価が下落し、企業が苦しい時に投資すべきで、そのために日ごろから現金を備えています」

 ――投資をすれば資金調達の面で企業を応援することになるのですか。

「資金調達の面というよりも、(株主総会での)議決権行使や、面談を通じて意見交換などのコミュニケーションによってエンゲージメント(関係性)を深めることにつながります。長期投資とは未来を期待する行為だと思います。持ち続けて共に歩もうというメッセージを経営者に伝えます。買うことは応援の意識の表れなのです。企業と共に歩むためにも、いまこそリスクマネーが必要だと考えています」

(聞き手・経済ジャーナリスト 加藤裕則)

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