それから新潟県は協力協定に基づき、東電と非公開協議を続けている。情報公開請求で県から開示された議事録からは、高まっていく東電への依存と、県民への情報公開の後退が鮮明になっている。
2020年12月2日の協議のテーマは「DIANA 意見交換について」だった。
「DIANA」とは、東電が開発した事故時の放射性物質の拡散を予測するシステムだ。原発事故の進展に伴う放射性物質の放出想定は、避難計画の体制や規模を大きく左右する。
開示された議事次第には、「〇配布資料『DIANAとは』を説明。(添付資料1参照)」「〇配布資料『「放射性物質拡散予測の提供」に関する運用について』を説明。(添付資料2参照)」と記述がある。
ところが、あわせて開示された2種類の添付資料(計14ページ)は全面黒塗りの、いわゆる「のり弁」。非公開決定通知を見ると、非公開部分は「DIANAの機能や技術仕様、活動実績」「放射性物質拡散予測情報の提供の運用」とあり、黒塗りの理由は「東電が保有するシステムのノウハウが公開されることにより、同社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため」「県の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであるため」「公開することにより東電との信頼関係が損なわれ、事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため」と記されていた。
公表した資料を「のり弁」に
「のり弁」で開示された東電の「DIANA」について、インターネット上で検索してみると、驚くべき資料が見つかった。
泉田知事時代の2015年12月16日に開催された「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」の配布資料として、評価(試算)結果(計67ページ)が掲載(公表)されていた。その中には「DIANAとは」と題して、「DIANAは与えられた入力情報を基に、放射性物質の拡散計算を行うシステム」「その計算により各種演算を行い、時系列的な地点毎の線量(率)等を出力」と説明するページもあり、「のり弁」で黒塗りされたのと同種の資料と考えられた。