サラリーマンのホワイトカラーには厳しい時代が到来するかもしれない(photo 写真映像部 佐藤創紀)
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 空前の人手不足のなか、ホワイトカラーの大量の「人余り」が表面化しつつあるという。今まで社会の中心を占めていた「ホワイトカラーサラリーマン階級」の崩壊に、どう備えればいいのか。

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「これからの日本は少子高齢化による深刻な人手不足と、デジタル化の進展による急激なホワイトカラーサラリーマンの減少と人余りが同時に起こる社会に突入します」

 こう唱えるのは、『ホワイトカラー消滅』(NHK出版新書)の著者で企業支援の第一人者の冨山和彦さんだ。

 人口減少に伴い、構造的な労働力不足が不可避とされる日本。これから予想されるのは単に働き手が足りない社会ではない。IT専門職などのハイスキル人材と、現場仕事に従事するエッセンシャルワーカーなどが不足する一方、中間的な仕事をする事務職などのホワイトカラーの人余り。つまり、労働市場の二極化であり、壮大なミスマッチだという。

 三菱総合研究所の試算によると、2035 年時点で約480万人の雇用減少が起き、このうち事務職のホワイトカラーが180万人余剰になる。これは計1200万人を超える日本の事務職人材が携わる業務のうち、「180 万人分(約15%)がデジタル技術によって自動化される状況」だという。生成 AI をはじめとするデジタル技術の導入・普及に伴い、人材に求められるスキルの激変が見込まれ、それが大量のホワイトカラーを直撃するというわけだ。

 また、リクルートワークス研究所が23年に発表した労働需給シミュレーションによると、40年時点で1100万人の労働力の供給不足が生じる。このうち、最も深刻な不足が懸念されるのは物流や建設・土木、介護・福祉、接客など「生活維持サービス」にかかわる職種だ。

 人が体を動かして行う現場仕事のうち、工場の生産ラインなど一部の定型業務には既に産業用ロボットの導入がかなり進んでいる。しかし、ほとんどの現場仕事は不定型でかつ対面で人と接しなければならず、ロボット技術や生成AIで代替するには技術・コスト面のハードルが高いため、少なくとも当面は「補完」にとどまる。一方、定型的な事務作業を行うホワイトカラーの仕事の多くはITシステムによって「代替」が可能という。

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