近年話題の「退職代行サービス」。利用者が増加しているという(写真/Getty Images)
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 近年、新年度を迎えるたびに話題になるのが「退職代行サービス」の利用者増加のニュースだ。本人に代わり退職の手続きをするこのサービスは年々認知度を高め、インターネットで「退職代行」と検索すると数多くの業者がヒットする。

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「このままのペースでいけば、4月の利用者数は過去最高の月間3000人に到達するのではないでしょうか」

 そう語るのは、2022年3月から退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロス(東京・品川区)の谷本慎二社長。利用者数は前年同月と比較しても2倍近い数字で、益々伸びているという。

 退職代行を利用するのは一体どんな人たちなのか。谷本さんはこう話す。

「何かと新卒の早期退職がクローズアップされますが、利用者数の割合を年間で見ると、新卒は8%くらい。退職理由の多くは、当初イメージしていた会社と違ったというギャップ、会社と利用者との間のミスマッチです」

 利用者は退職代行サービスに申し込む際、氏名、勤務先、退職希望理由を伝える。4月に見られる退職理由は、入社前に聞いていた給料や休日日数が実際に入ってみると違った、配属先や業務内容が想像していたものからかけ離れていたなど、契約内容に対する不満がほとんどだという。5月以降になると、上司との相性が悪い、ハラスメントを受けたなど、人間関係に関する悩みにシフトしていく。

無理難題、罵詈雑言も…

 同社はこれまで、約3万2000人の退職代行を担い、退職“成功”率は100%だというが、稀に首をかしげたくなるような依頼者もいると谷本さんは言う。

「無理難題を言う依頼者はいます。たとえば、退職金の受給資格は3年以上勤務のところを1年で辞めているのに、『なんとかしろ』『退職金が出ないなんてふざけるな』などと罵詈雑言をはく方はいますね。こちらとしては制度に関してはどうすることもできないのですが」

 退職代行を利用する人の中には、ヒアリングをしても要領を得られずに手続きが滞り、いらだって暴言をはくような場合もあるという。こうしたケースではそのままフェードアウトになるか、弁護士対応を提案することになる。

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