女性たちの反響はドラマスタッフにとっても想定内だろうが、注目すべきは「このドラマは男性こそ見るべき」という声が多かった点だろう。

「この背景には、女性たちの“自分たちばかりが頑張っている”という日常的な疲弊と、それを誰にも理解されないという孤独感があるように思います。主人公の詩穂が感じる“今日も誰とも話していない”というひと言は、専業主婦にとってリアルな実感であり、そこに男性たちが想像すらできていない現実がある。多くの女性は、『なぜ夫にはこれが伝わらないのか』というもどかしさを常に抱えており、ドラマを見て“これは私の物語だ”と感じた。だからこそ、『男性が見るべき』という言葉はただの希望ではなく、日々見過ごされてきた想いをなんとか届けたいという女性たちの強い願いが込められているように思います」(ライフ情報サイト編集者)

どれだけ男性視聴者を巻き込めるか

 家事も育児も、もはや“女性の問題”ではない時代において、それでもなお“家のことは他人事”と感じてしまう男性たちに向けたメッセージこそが、本作の核心にあるとも言える。

「第一話は爆発的な視聴率とはなりませんでしたが、序盤で重要なのは数字では測れない“波紋の広がり”。女性視聴者の共感を得ていることは間違いありませんが、ここからどれだけ男性視聴者を巻き込めるかが勝負でしょう。4月8日放送の第2話では、ディーン・フジオカ演じる育休パパとの“対岸”ぶりが描かれましたが、家事や育児を“他人事”と捉えがちな男性たちの心にも刺さった時に視聴率は一気に跳ね上がり、今期の話題作として大きく躍進するはずです」(前出のテレビ誌ライター)

「家事」という家の中のお仕事のリアルを通して、社会全体が抱える性別役割の固定観念を問い直すきっかけとなりそうな本作。仕事だけでなく自分の趣味などまでを言い訳に、家のことを“対岸の家事”だと思っている男性たちは必見だ。(泉康一)

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