
注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2025年4月7日号より。
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3月23日、東京都府中市において、武蔵国府中けやきカップ・将棋女流棋士1dayトーナメントがおこなわれた。18回目を迎えた本大会も、盛況のうちに幕を閉じた。
府中市は中倉姉妹(彰子女流二段、宏美女流二段)の出身地だ。彰子さんは競技生活後、地元で子ども教室を開き、普及活動に携わっている。一方の宏美さんはLPSA(日本女子プロ将棋協会)で代表を務めながら、現役プレーヤーとして指し続けている。
他の大会では実績のある宏美女流二段も、なぜかホームでは優勝できない。
宏美「開会式から地元エールをいただいて気合が入りましたが、結果は残念でした。でもこうして府中でイベントを継続できるのは大変ありがたいですし、対局姿を見て頂けるのは女流棋士として励みになっています。次回は優勝したいですね」
けやきカップでは地元在住の岡本眞一郎さんが芸術的な詰将棋を3題出題している。最後の詰み形は字の形になっていて、今回はゲスト解説者・藤森哲也五段にちなみ「テ」「ツ」「ヤ」だった。
宏美「岡本さんは私たち姉妹にとって、最初の先生だったんです」
岡本さんは長年、子どもたちに優しく将棋を教えてきた人だった。また有名な詰将棋作家であり、2004年には作品集『競馬式』(こまくらべしき)を上梓した。その中で、次のようなことを記している。
「今は、全員が女性のチームを作り団体戦に参加するのが目標の一つ。土日の将棋大会に女性を5人集めるのはなかなか難しい」
しかし現在、将棋大会には多くの女性が参加するようになった。LPSAが開催する女子アマ団体戦は5人1組で三十数チームが参加している。岡本さんの夢は、教え子の中倉姉妹たちによって実現した。(ライター・松本博文)
※AERA 2025年4月7日号