再稼働した東北電力の女川原発2号機

原発は「あってはならない電源」

 そして、使用済み核燃料や廃炉後の放射性廃棄物等の最終処分の場所や方法について、まだ何も決まっておらず、いつ決まるかも全く目処が立たないという大問題もある。「トイレなきマンション」と揶揄されるが、笑い事ではない。

 しかも、原発は再生可能エネルギーとは正反対で、時間とともにコストが上がる。すでに、他のどの電源に比べても高いことは世界共通の認識だ。

 これから有望だと言われているSMR(小型モジュール炉)でも当初の予想は大きく外れ、経済的にペイしないことがはっきりした。米国では、すでに計画を中止した企業も出たが、それでもこれを導入したい経済産業省は、原発のコストが割高になる分を電力料金に上乗せする仕組みを作ろうと画策している。

 以上のとおり、普通に考えると、原発は使えない電源であるだけでなく、あってはならない電源であることははっきりしている。

 これらのことは言い尽くされた感があるが、今回はそうした原発についてのこれまでの議論を離れて、少し別の視点から見た原発推進論の「愚かさ」について指摘してみたい。

 自民党の保守派は、「台湾や日本は明日のウクライナだ!」と声高に叫んでいる。ロシアが武力でウクライナを侵略し、領土を奪った。それが今や正当化されそうになっている。

 仮に台湾有事が起きた場合、中国は台湾を攻撃し、沖縄も攻撃対象になる。さらには日本本土も危ない。

 それが彼らの主張だ。愚かな戦争プロパガンダでしかないが、もし仮にそれが正しいのであれば、私たちは、ウクライナで起きたことを検証して教訓を得るべきだ。

 その意味で参考になる記事が、2月26日の日本経済新聞朝刊に出ていた。その見出しには、「ウクライナ 発電能力分散 再エネ加速、攻撃被害最小化」とある。

 その要旨は、「ウクライナが発電システムを再生可能エネルギーや蓄電池を組み合わせた分散型に転換している」ということだ。ウクライナでは、24年夏までに、発電能力ベースで火力の9割以上、水力の6割が破壊された。「再エネを重視するのは脱炭素が狙いではない。それぞれが離れて設置されるため、攻撃の的を絞られにくく、修理しやすい利点が大きい」からだという。同国最大の国営電力会社のCEOは、「大規模なミサイル攻撃から電力システムを守る唯一の持続可能な方法は発電能力を分散させることだ」と断言する。

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