
――自信もないし、友達もいない……意外に感じますね。
自信ないですよ。臆病ですからいつも緊張しています。今もそうです。でも、虚勢を張る必要はないと思っていて。準備を大事にして仕事に臨みますけど、ありのままを出すしかないですから。友達も全然いないです。10代のころから集団行動が苦手で、1人行動が基本でした。飲み会には全然行きません。先輩や知り合いに誘われても行かないから、誰にも誘われなくなって(笑)。家族や仕事先のスタッフ以外にプライベートで外食に誰かと出掛けるのは、1年間で数えるほどです。でも寂しいとまったく思わない。1人行動、楽しいですよ。
――俳優の方たちとプライベートでも交流があると思っていました。
現場で話しますし、興味があることを質問する時はありますけど、一緒にお酒を飲みに出掛ける機会は全然ないですね。ドラマや映画の打ち上げの食事会もあまり好きじゃないんです。その場では盛り上がるけど、最後の宴みたいな感覚で寂しくなる。でも、皆さんもそうだと思うんですよ。職場の人と仕事の場では力を合わせるけど、プライベートも一緒にいたいかと言ったら、1人でいるほうが気楽な人もいると思います。僕は友達がいないことをマイナスと捉えていません。人間関係のしがらみがないし楽ですから。でも、娘がこの性格を受け継いじゃって(笑)。1人行動が多いんですよ。
心がつながった感覚
――「友達が必要」という考えが無意識に刷り込まれているのかもしれませんね。
そうですね、もちろん1人で生きていくことはできないし、家族や支えてもらう方たちを大切にしないといけません。ただ、自分に無理して友達付き合いするのが幸せかというとそうじゃないなと。自然に無理をせず生きることで、大切なことに気づくような気がします。先程お話ししたヤノマミ族は言葉が通じなかったけど、一緒に生活して「村に残ってほしい」と言われた時に本当にうれしかったし、心がつながった感覚がありました。あの時に出会った村の首長や子供たちのことを思い出す時があるし、また会いたい。一度しか会っていないし、遠く離れているけど、旅先で出会った人たちはかけがえのない存在ですね。
(聞き手・平尾類)