国民民主党代表の玉木雄一郎氏
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 昨年10月の衆院選で大勝した国民民主党の勢いが衰えを見せない。報道各社の世論調査では、いまや野党第1党の立憲民主党を上回る支持率を誇る。国民民主党が一貫して猛アピールしてきたのが、「手取りを増やす。」をキャッチフレーズにした家計支援策だ。第一生命経済研究所の首席エコノミストである永濱利廣氏に、元大蔵省(現・財務省)官僚である玉木雄一郎代表のカラーがにじむ経済政策への評価を聞いた。

【図解】これを見れば、国民民主党がざっくりわかる

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 国民民主党の公約の目玉といえば、所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げだ。

 課税される年収最低ラインを現状の103万円から178万円にすることで、パートやアルバイト勤務の人たちの働き控えを解消する。また、基礎控除が引き上がるため、納税者の多くが減税の恩恵を受けられる。

 永濱氏は「まさに一石二鳥な政策で、目の付け所がいい」と評価する。

「いきなり178万円まで上げるのは地方の税収減を考えると混乱が起きかねないが、党としては178万という数字には固執していなかったと思います。アメリカのトランプ大統領の“ディール”のように、最初に高めの球を投げて、与党との協議の中で現実的な落としどころを探るもくろみだったのでしょう。しかし政府案は、壁をなくして新たな壁を作るような複雑な内容でした……」

 自民、公明両党が提示した最終見直し案は、

■課税最低限の年収を160万円に引き上げる

■年収が200万円を超える場合、基礎控除を年収に応じて段階的に引き上げるが、この上乗せは2年間の限定措置とする

 というものだ。

 国民民主党は、基礎控除引き上げに所得制限を設けることを認めず、与党との協議は破談に。3月4日、上記の政府案が反映された税制関連法案が衆議院を通過した。

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玉木氏は「稀有な政治家」?