尿などの体液を強制的に他人の口に入れるというのは、AVでも表現される「性欲望」の一種だ。男は「怖がらせて言うことを聞かせたかった」などと話しているそうだが、子どもを怖がらせるのに尿を水筒に入れるなどということは、普通は思いうかばない。というか、「尿を水筒に入れる」のをコワイと思うのは、そういう気持ち悪さを十分に味わってきた大人の女性のほうだ。だからこそ、水筒の中の液体に気づいた母親は警察に通報したのだろう。

 さらに今週は、7歳の娘への性的暴行を動画に撮り、グループチャットで共有したとして30代の男とその仲間が逮捕されるという大事件が発覚した。男たちは実の娘や養女への性的暴行を撮影しては仲間と共有してきたという。まだ詳細は不明だが事件が発覚したのは、昨年に少女への性的暴行の疑いで逮捕された男のスマホを解析したことによるという。これは男たちが手元のスマホでAVを模した事件だと私は思う。それも、娘を使って、家庭内で、「ママに内緒だよ」と娘を「共犯」のように仕立てて口を封じさせて。

 少し前に、『男が痴漢になる理由』などの著書で著名な精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんと対談する機会があった。3,000人以上の性犯罪加害者のカウンセリングをしてきた斉藤さんは、AVが性加害者に与える影響について話してくださった。性加害の原因を一つに特定することはできない、それでも要因の一つとしてアダルトコンテンツ(AVをはじめとするポルノ)があるのは明白だとのことだった。特に、子どもへの性加害に関しては、児童ポルノの存在がかなり大きな位置を占めているという。

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