欲望はつくられる。性欲ですら、文化的に方向づけられるのだ。幼女への性的欲望はファンタジーとしてOK! 女への性的暴行はファンタジーであればOK! として、アダルトコンテンツとして商業的に流通されている社会で、「リアルにやったらおしまいよ」とわかっていたとしても、全く影響を受けないで生きられる男性はどのくらいいるのだろう。

 私は女だから、女が虐められている映像や、少女が過剰に媚びているような映像を見るのが苦しい。その苦しさは、たとえば、子を殴り、犬を虐待する映像が「おたのしみ」として流れるような社会にたとえたらわかりやすいだろうか? たとえ2次元の子猫であっても、そんなものは商業的には許されないだろう。それがペットタレントの事務所がお金をもらってペットに演技させているものだとしても、「動物虐待コンテンツ」として商業化されるのは、許されないことだろう。……と書きながら不安になってきた。もしかして、今も、あるのでしょうか? 何でもありな、この倫理なき世界では……。

 今、人類史上かつてない量で、男たちがポルノを見る時代である。見るだけでなく、気軽に創ることもできる時代でもある。創るだけでなく、ネットで公開することで金にすることもできる時代である。そういう社会で、ポルノがどのように社会に影響を与えているのか、その影響は結局のところ子どもや女性たちにどのような影響を与えているのか。知りたい。「裏」のことはわからない。でも少なくとも、表向きに少女の媚態=萌えキャラや、女性の半裸姿が公共の場で見られない世界は、深く呼吸できる社会だった。そういう「タテマエ」は、女にとって、大切な安心材料なのだと実感している。

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼