学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(31)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、日本ではまだあまり馴染みのない、現代音楽の魅力について語ってもらった。

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Q. 昨年11月放送の「題名のない音楽会」(テレビ朝日系)で演奏されていた現代音楽が印象的でした。現代音楽の魅力やどんな曲から入っていくといいかなど、楽しみ方を教えてください。また、現代音楽の曲にはどのようにして出会うのでしょうか? アクセス方法も知りたいです。

A. 現代音楽の魅力は、いわゆる“予想外”の面白さがあるところでしょうか。クラシック音楽にももちろん予測できないハーモニーはありますが、ある程度“型”があることが多いのと、過去に耳にしている曲も多数あるため、次の展開に予測がつくところがあります。対して現代音楽は伝統的なフォーマットに則っていないものもあり、意外な展開もありますし、自分では思いもつかないような楽器の編成で曲が作られていることもあって、脳の刺激になります。なかには「音楽とは?」といった問いかけを含むような曲もあり、今を生きる自分の思考を抜本的に変えられるようなこともあるんですよ。

 それに、音楽には作曲家が思い描くストーリーや聴く人に向けたメッセージが込められていることがありますよね。たとえば、作曲家のふるさとのメロディーが隠れていたり、社会に対して問題提起をするようなメッセージが潜んでいたり、新しい作曲形式の提案であったり。現代音楽は時代が近い分、作曲家の思いが伝わってきやすい曲もあり、楽曲に込められたストーリーやメッセージに気がつくと、より楽しめます。しかも、もしかしたら100年後にはこの曲が「クラシック」音楽になっているかもしれないと思うと掘り出し物感があって、いい曲に出合えるとうれしくなっちゃいますね。

 現代音楽に出合うのに、私はグラミー賞のインストゥルメンタル系部門のノミネート作品などからアクセスすることがあります。また、カーネギーホールなど海外のコンサートホールのプログラムの中で現代音楽の企画があったらどんな作曲家が取り上げられているかをチェックして、情報をアップデートしています。

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現代音楽は何から聴くのがおすすめ?