
70代で子育てに奮闘する石田純一。どのような日々を送っているのか。家事や育児を通して感じたこと、子どもたちへの思いとは──。AERA 2025年3月10日号より。
【図表を見る】いつの時代も男性は低い 仕事と家庭の「両立」志向




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男の子1人と女の子2人の子育てをしています。末っ子はまだ6歳。70代はおそらく僕だけですが、周囲には30代から50代まで幅広い年代のお父さんがいます。
意識して見ているわけではありませんが、例えば週末の公園で、男性が一人で子どもを遊ばせている光景は、僕の父親の世代が子育てしていた当時はなかなか目にすることがなかったものです。そこは大きく変わったところだとは思いますが、それでもまだ足りない。男性は“やっているつもり”でも、冷静に考えると、やっぱりまだまだ不十分なんですよね。
僕は、眠くても毎朝3人の子どもたちをそれぞれの学校まで送り届けていますが、お弁当を作ったことはほとんどありません。妻が仕事で海外に行く際は、それぞれの好みを考えながらお弁当を作りますが、あくまで一時的なものです。毎朝もう1、2時間早く起き弁当を作り、持ち物をチェックして完璧に揃えて……というレベルには達していないわけです。そう考えると、僕は「やっている」と言っても、妻から見ると「やっているつもり」と思われても仕方がないんじゃないかな。
子どもたちには、自分の周囲がすべてだとは思わず、もっと多様な社会を見渡せる大人になってほしいと思います。恵まれた環境のなかで育っていると思いますが、自分の力ではどうすることもできない立場に置かれている方々にも意識を向け、気を配ることができる大人になってほしい。
いま、僕はひとり親家庭・困窮家庭を対象にクリスマスケーキの配布を行うイベントなどにも参加していますが、そうした姿を見て息子は「えらいね」といった言葉を自然と口にするようになりました。将来、どんな仕事に就くかはわかりませんが、“人を想うことができるDNA”だけは大切に育んでいきたいと思っています。(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2025年3月10日号

