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結婚は?」「老後はどうするの?」など自分の人生が確立していないと不安になる質問。50代、独身、フリーランスのイラストレーターの森下えみこさんはどう対応しているのか。AERA 2025年3月3日号より。

【イラスト】「年を取るのが怖かった30代」から「自己肯定感が芽生えた50代!」へ

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──30代で会社員からイラストレーターに転身し、40代で静岡から東京に拠点を移し、活動を続けてきた森下えみこさん。50代になり、独身・フリーランスという生き方について自身の心の変化を振り返る。

静岡では、「イラストレーターです」と言うと夢追い人に見られたり、部屋を借りる時は信用がないとみなされたりして確定申告書を3枚提出したことも。でも、東京では一つの職業として認められていて、いちいち説明が不要で楽でした。立場は「30代独身」から「イラストレーターの森下さん」に変わりました。

 その時、私はシングルが嫌なわけじゃなくて、周りから色々と言われる状況が嫌だったんだと気づきました。結婚して、子どもを産んで、家族を持つという真っ当なコースを走ることが、私はしんどかったんです。

──40代半ばから、身の回りのささいな変化に気づくようになったという森下さん。そんな日常を描いた最新刊のコミックエッセイ『45歳(独身)、どんな感じ?』を描く際、「45歳 独身」とウェブ検索をしたら、次に続く言葉の予測に「狂う」が出てきたと苦笑いする。

 40代の独身は、一人で寂しくなるのが怖いんだなって。なので、一人なんだけれども、どこかでみんなつながっている「ワンネス(oneness)」を伝えたいと思いました。

 自分のことを助けてくれる存在は、家族や友達だけではなく、本や演劇、公園などモノだったり場所だったりもすると思います。私は宝塚や音楽ライブ、お笑いを観に行ったりするのですが、その時間だけでも嫌なことや不安がリセットされます。今はSNSもあるので、困ったことがあったら誰かに聞くことができ、以前とは変化していると感じます。

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