
小さな失敗を経験して
高校3年はすぐに入試の準備に入るため、受験に集中することでやりすごせた。だが、大学は違った。「サークルに入ろうかとかも考えたのですが、やはり自分から話しかけるのが苦手で……」。人との関わりの少ない警備員のアルバイトには行っていたが、大学からは足が遠のき、1年生の後期には行かなくなってしまった。必須科目の欠席が続いたため、大学から親に連絡が入り休学、何度か復学を試みたがやはり難しく、今は再び休学して母親が見つけてきた八おき塾に通っている。八おき塾はコミュニケーションを取るための良い練習の場だ。
「その日に来ている人たちみんなでご飯を作って食べるんです。買い出しにいったり、料理したりする中で自然と会話ができるので、そこがいいです」
不登校やひきこもった年数分だけ復帰への時間がかかるとも言われる中、同塾では1年ほどで“卒塾”を果たす子がほとんど。毎年10人前後の若者が塾から巣立つ。同塾を主宰する鳥巣さんは言う。
「親が先回りして失敗させずに育ってきている子が多いように思います。でも、失敗や挫折を経験しないと立ち上がり方も分からない。小さな失敗や挫折を繰り返して立ち直り方を覚えるしかないのでは」
小さな失敗の経験が、失敗しても大丈夫だと思える芯を作る。不登校の子もいつかは社会に出なくてはならない。生きるための芯の育成は必要だ。
(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2025年3月3日号より抜粋