
不登校やひきこもりになる時期や原因はさまざまだが、大学入学後という人たちがいる。どのような背景を持つ子が多いのか。AERA 2025年3月3日号より。
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義務教育年齢の子に対する支援の充実が図られる中、政策の外側に置かれがちなのが高校生以上の子に対するものだ。小中学校のいずれかで不登校を経験し、高校でも不登校という生徒もいるが「突然なった」という若者もいる。彼らの中にはそのままひきこもりへと突入するケースもある。
福岡県で長年ひきこもりの若者支援を続ける一般社団法人福岡わかもの就労支援プロジェクト(鳥巣正治代表)では、博多駅近くに不登校やひきこもりの子とその親を支援する「八おき塾」を開設している。
全国的にも有名な私立名門中高一貫校出身の25歳の男性は、旧帝大に合格し関西へ。希望の大学に現役で合格したものの、ゴールデンウィークが過ぎたあたりから大学に行けなくなってしまった。
「初めての一人暮らしと関西という環境にうまく馴染めなかったのかと思います。周りからどう見られているかが気になりだして、だんだん自信もなくした感じで大学を休みがちになりました」
行けない自分に恥ずかしさも感じ、親には言えずにいた。6月、なんとなく様子がおかしいと思った母親が一人暮らしの部屋を訪ねてきたことで発覚、休学届を出して夏前に実家に一度戻ることにした。親の勧めで精神科を受診、通院を経て復学を試みたが再び気持ちが落ち込みがちになり退学し実家に戻った。現在は通信制の大学に通いながら八おき塾に通っている。
「良かった頃の自分を知っている人間にはなんとなく話しにくくて、中高時代の友人には話せませんでした。ここは自分と同じような経験のある人がいるので話しやすいです」
やはり大学入学後に不登校になったという佐賀県出身の21歳男性は、学校への行き渋りの傾向は高校時代にもあったと話す。積極的に自分からコミュニケーションを取るタイプではなく、高校時代にも一度、孤独な気分を経験していた。通っていた高校は進学校で、特進クラスのようなものが存在した。当初は普通クラスにいたのだが、高校2年生の成績が良かったため、3年生でいきなり特進クラスに入れられた。「他の人は2年生からの持ち上がりで、友達関係もできていたから、なんとなくいづらかった」という。