「御上先生」の主演を務める松坂桃李
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 TBS日曜劇場「御上先生」が話題だ。主演の松坂桃李をはじめとする俳優陣の演技の巧さもさることながら、やはり物語の展開に惹きつけられるという。キーワードとなるのが「バタフライ・エフェクト」だ(この記事は、2月2日に配信した内容の再掲載です。年齢、肩書、数字などは配信時のままです)。

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 俳優の松坂桃李(36)が主演を務めるTBS系日曜劇場「御上先生」が高視聴率を記録し、話題を呼んでいる。初回の世帯平均視聴率は12.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)で、今期の連ドラで唯一の2桁発進。第2話は11.2%とダウンしたものの、一歩抜きんでた存在となっている。

 本作は、文科省のエリート官僚である御上孝(松坂)が、ある事情から私立高校の教師として赴任し、生徒たちと向き合いながら腐敗した教育制度や権力に立ち向かう“大逆転教育再生ストーリー”だ。現代の政治や社会問題とも絡み合うサスペンス要素を盛り込んでいる点が新鮮で、従来の学園ドラマとは一線を画す内容となっている。

「この作品の大きなテーマとなっているのが、『バタフライ・エフェクト』です。ある小さな出来事が、想像もしなかったような大きな出来事につながることを意味する言葉で、『ブラジルで飛ぶ蝶の小さな羽ばたきが、めぐりめぐって影響し、米国テキサスでタイフーンが起きる』という例え話に由来しています。第2話では、ジャーナリスト志望の神崎拓斗(奥平大兼)が書いた教師の不倫記事が単なるスキャンダルにとどまらず、それが教師の人生、学校・文科省との関連、そして殺人事件や犯人の目的にまでつながっていくことがにおわされています。『御上先生』では生徒たちの小さな選択が社会全体にどのような影響を与えるのかを考えさせる授業が展開されていくようです」(ドラマウォッチャー)

 作中で印象的だったのが、御上が生徒たちに討論をさせる場面だ。

「ただ知識を教え込むのではなく、生徒たちが自ら考え、選択する力を養うことが重要だと説く。その中で、個人の選択がどのように社会へ波及していくのかを具体的な事例を通じて考えさせる。このアプローチこそ、バタフライ・エフェクトと直結しています」(同)

 このドラマでは、「監修」の存在もリアリティーを高めている。

「『学校教育監修』のクレジットが入っている工藤勇一氏は、雑誌のインタビューで、『3年B組金八先生』以降、『学校=悪という構図が出来上がってしまった』と指摘しているのですが、作中で御上が展開した『生徒のために奔走するスーパー熱血教師以外は教師にあらず、という空気をつくってしまった。保護者たちの教師への要求はエスカレート、教育の理想を描いた学園ドラマが驚くなかれ、モンスターペアレンツ製造マシンになるんです』との持論は、工藤氏の考えが反映されたものでしょう。また、第2話で生徒に白紙やノートにその日学んだことを書き出させようとしていたのは、大ヒットドラマ『ドラゴン桜』に続いて本作でも『教育監修』を務めている西岡壱誠氏が推奨している勉強法です」(出版関係者)

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「文春の人が“蝶”だと気づいてほしい」