3人男子を育てるコミックエッセイストtomekkoさん。少年野球に夢中の次男くん(小3)を観察していると、試合のたびに五感を使って思考をフル回転し、戦略を練り続けているといいます。「好き」「夢中」から得られるものはどのようなもの?「体験を通じた学びの大切さ」って結局なんなんだろう――次男くんのエピソードをもとに、tomekkoさんが考えました。
「今日の対戦相手の守備、全然プレッシャーかけてこなかったんだよな……」
少年野球の試合からの帰り道、車の後部座席でボソリとつぶやいた小学3年生の次男。チームではピッチャーをつとめています。やや不満そうなニュアンスを含む言い方に驚いて思わず聞き返しました。
「え! プレッシャーなんてなきゃないほどよくない!? お母さんはマウンドに立って注目されただけでもうプレッシャーに押しつぶされてチビりそうだけど」
次男はえーお母さんビビリだなぁ〜と笑いながら答えました。
「塁に出たらわざと後ろで足音立てたり地面けったりしてピッチャーにどんどんプレッシャーかけないと。ランナーコーチ(ランナーに走塁のアドバイスをする役割)ももっと声出せばいいのになぁ」
そういうもんなんだよ〜だって。はぁ〜!? ぜんっぜん意味がわからない! そんなことされたら相手の狙い通りまんまと動揺して投球失敗する未来しか見えないけど(泣)。あんたもしかしてドMなの⁉ と喉元まで出かかって飲み込んだ母はというと、数十名の前に出て乾杯の挨拶をするのに持ったグラスの中身全部あふれそうな勢いで手足の震えが止まらない超あがり症なんです。いつも次男がピッチャーとして登板する姿を見るだけで過呼吸気味ですよもう。
とはいえ自分のおなかから生まれたのに自分とは持っている素養が全く違う次男に対しては、生命の不思議に触れるような面白さがありまして、自分と似たタイプの長男への共感や心配といった感情とはまたちょっと違った視点になりますね。
次のページへものすごく考えてるんだなぁー!!