こうして一回の試合ごとに相手の戦法を受け止め、その場で実践して一つ一つスキルを習得していくなんて、まるでゲームの世界で対戦するたびに経験値をゲットするみたいで面白い。
長男の幼少期から幅広い体験や活動が学びにつながるであろうことは感じていたので何かと「学びになれば」「非日常体験の刺激が新たな興味の扉を開くかも」なーんていろいろ機会は提供してきたつもりでしたが、結局親のお膳立てなんかより子ども自身が本当に好きなものが見つかれば、家の中でも日常の一端からでも自主的に学んでいるんですよね。
なんなら本人が「これは学びだ」なんて自覚しないで重ねている小さな失敗や成功こそが大切な経験値となって、いつか実力以上に頑張らなければならない時にはいいバネになってくれるのかもしれません。
ところで先日、練習試合ですがなんと同点、満塁、最終回という最強に心臓に悪い瞬間のピッチャーとその母、という得難い経験をしました。運動オンチ人生しか歩んだことのない私、まさか自分の子がそんな究極プレッシャーのど真ん中に立つなんて、それを見守る立場になるなんて夢にも思っていなかったので卒倒寸前。小学生の練習試合でこんな緊張するなら甲子園決勝のピッチャーのお母さんたちはどんなに心臓鍛えてるんだろう……。
そんなど緊張なのでいつも以上にマウンドの次男に視線ロックオンだった私。3人のランナーに囲まれた次男がゆっくりと左足を上げて、投げた!……ところまでは見ていたはず。
なのに次の瞬間には土煙が上がって味方がワー!!と飛び上がって喜んでいました。ん? んん? 何が起きたの⁉
次男はキャッチャーを見据えてまっすぐに投げるモーションをしたまま、最後の最後で向きを変えて三塁に投げ、ホームに突っ込もうと大きくリードを取っていたサードランナーをアウトにしていたのです……って。
ゲームを俯瞰で見ていたら当然想定される戦略なのかもしれませんが、ひたすら(フォアボール出しませんように、打たれませんように)と次男オンリーの激狭視野で神頼みしていた母はポカーンですよ。
次のページへ少年は手を離せ、目を離すな