竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 コンビニと言えばおにぎりが看板商品。そんなイメージがある方も多いと思います。4月18日から、ローソンのおにぎりが新しくなります。

 昔はコンビニのおにぎりというと、「安くて便利」というイメージで認知されていたと思います。味もそこそこでしょ、と。

 でもローソンとしては、日本人にとっては「ただのおにぎり」ではないよね、という思いがありました。学校や遠足のお弁当など、家族が心を込めて握って、それを食べて成長したというのが私たちの原点なのだと。

 もしかしたら今の子どもたちは私たちのおにぎりで育っているかもしれない。「ローソンの美味しいおにぎりで育ったんだ」と言ってもらえるくらいの気持ちで、従来のコンビニのおにぎりの殻を破りたいと考えています。

 今回の刷新のこだわりは、「握り方」です。今までは上下からプレスする形でしたが、「立体成形方式」で全体的に、均等に成形することで、手作りに近いふっくらしたおにぎりにすることに成功しました。これはコンビニ業界では初の試みです。

「立体成形方式」でふっくらしたおにぎり
「立体成形方式」でふっくらしたおにぎり

 ローソンは2002年に「おにぎり屋」というオリジナルブランドを立ち上げるなど、おにぎりにずっとこだわってきた歴史があります。

 以来、意外な具材を入れたり、「新潟コシヒカリおにぎりシリーズ」など高級路線を追求したり。塩水かそれともご飯を炊いた後でふり塩を行う「振り塩製法」か、海苔は直巻きか手巻きか。その地域のお米とお水で炊いた方がいいのではないか、などお客様の声に耳を傾けながら、工夫に工夫を重ねてきました。おにぎりというのはシンプルな食べ物だけに、逆にこだわりだすと終わりがないんですね。

 これからも心を込めて手で握った美味しさを求めて、温かみのあるおにぎりを追求していきたいと考えています。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2023年4月24日号