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Mrs. GREEN APPLEが、2025年2月15日と16日に自身初となる韓国単独公演【MGA LIVE in SEOUL, KOREA 2025】をソウルの高麗大学TIGER DOMEにて開催、初日のオフィシャルレポートが到着した。
開演予定時刻の数時間前に会場の高麗大学TIGER DOMEに着くと、すでに多くのファンが集まりライブが始まるのを今か今かと待ち構えている姿が目に飛び込んできた。Mrs. GREEN APPLE、初の韓国単独公演である。現地のJAM’S(ファンの愛称)の熱気は、冬のソウルの寒さをも吹き飛ばしてしまいそうなほどだ。その熱気は開演が近づくにつれてさらに高まっていき、ついにやってきたライブのスタートとともにいきなりピークを迎えた。心臓の鼓動音が鳴り響き、ライトが眩く点滅すると、緑色の光に照らされて黒いスーツを身につけたメンバーが登場。客席からは悲鳴のような歓声が鳴り響いた。
大森元貴(Vo / Gt)の「アンニョンハセヨ! Are you ready?」という言葉から始まった1曲目は「ANTENNA」。大森が突き上げる拳に合わせてオーディエンスのライトスティックが揺れる。若井滉斗のギター、藤澤涼架のキーボードにサポートメンバーを務める二家本亮介(Ba)、兼松衆(Key)、河村吉宏(Dr)によるサウンド、さらにオーディエンスの手拍子も力強く重なる鮮やかなオープニング。続いてライブ初披露となる「ビターバカンス」では背後のスクリーンに映し出されるカラフルな映像と軽快に転がるリズムにオーディエンスの高揚感もさらに高まっていく。
3曲目、ヘヴィなサウンドに光と映像の演出が合わさりすさまじいスケールで鳴り渡るなか若井によるギターソロも炸裂した「Loneliness」を終えると、「楽しんでますか、Mrs. GREEN APPLEです!」と大森が挨拶。もちろんその言葉にもオーディエンスは大歓声で応える。とにかく、どの曲でも客席からのリアクションがものすごい。1曲ごとに全力で手を叩き、元気いっぱいの歓声を上げ、歌い、手を振り、体を弾ませる……波打つように動く人波が、この日を待ち望んでいたJAM’Sたちの気持ちを代弁するようだ。大森と若井、ふたりのギターがせめぎ合う「藍」を経て、藤澤の弾くキーボードがリードする形で「君を知らない」が始まる。大森の歌は曲が進むごとに熱を帯び、その熱が伝播するようにバンドのサウンドはますますエモーショナルになっていった。
「会いたかったよ! 今日は楽しんでいってね!」。バンドが心地よいサウンドを生み出すなか、そう客席に声をかけた大森。その言葉を自ら証明するように、ステージから「Feeling」の気持ちのよいグルーヴが溢れ出した。オーディエンスが声を合わせて歌うコーラスに乗せて大森は華麗なダンスステップを踏む。「Magic」ではここまでで最大のシンガロングが生まれ、オーディエンスのヴォルテージも最高潮に。カメラ目線でピースサインをキメる大森にも割れんばかりの歓声が降り注ぐ。もちろん日本でのライブでもこの曲が生み出す光景はとんでもないものだが、ずっとこの日を待っていたオーディエンスの思いが爆発して、盛り上がりに拍車をかけている。そしてそこに畳み掛けるのがフェーズ2を始動させた大切な曲「ニュー・マイ・ノーマル」。藤澤が持ち場を離れて客席を煽り、若井もバンドメンバーと呼吸を合わせながら鋭い音を響かせる。怒涛のような展開のなかで、ステージ上のメンバーも客席のオーディエンスも、どんどん開放的になっていくようだ。
ここで一呼吸おいて、大森が「春愁」を歌い始めた。するとそこまでの盛り上がりを凌駕するほどの声が客席から上がる。じつはこの曲は韓国で絶大な人気を誇っていて、それだけにオーディエンスのリアクションも相当なもの。美しくも切ないメロディの大合唱が自然と湧き起こり、会場は美しい一体感に包まれる。さらにジャジーなムードの「Coffee」を届けると、ここでMCへ。3人とも韓国語でJAM’Sに語りかける。大森は「こうして韓国のみんなに会えて嬉しいです」と言いつつ「前回韓国に来た時、鼻にニキビができたんですが、無事治りました」と報告して笑いを誘い、藤澤も「涼ちゃんと呼んでください」という自己紹介から「昨日、念願のタッカンマリを食べました! 好きなタッカンマリを韓国で食べることができてよかったです」と報告して大歓声を浴びる。そして韓国語が堪能な若井は「Mrs. GREEN APPLEのギターと末っ子担当の若井滉斗です。ついにこうして韓国JAM’Sに会えてすごく嬉しいです」と気持ちを伝えると、「みんな、どうですか?」とオーディエンスに問いかけ、「叫べ!」と煽り立てた。そして「最高の日にしよう!」という言葉を合図に、ライブはさらなる狂騒へと突き進んでいった。
曲名通り青い光に会場が包まれる中、「青と夏」の前のめりなバンドサウンドが轟き、客席から叫びのようなシンガロングが巻き起こる。立て続けに「ライラック」。若井のギターがさらなる興奮を呼んでくる。大森の韓国語での「いくぞ!」という声を待つまでもなく、TIGER DOMEはすっかり熱狂の坩堝だ。その後真っ赤な映像とライトに照らされた大森と若井がギターをかき鳴らす「インフェルノ」を経て、大森がはっとするような歌を歌い出す。「Soranji」だ。大森が紡ぐ歌に、さっきまで大合唱状態だったオーディエンスがしんと静まり返って聴き入っている。決してこの曲の歌詞を理解することは簡単ではないと思うのだが、こうして日本以外で暮らす人々にそのメッセージがしっかりと届いているのを見ると、お題目ではなく「音楽が国境を超える」ということが実感できる。この曲にかぎらず、日本語の歌詞がしっかりと韓国のJAM’Sに共有され、「みんなの歌」として響き渡る――そんなシーンがこの日のライブでは次々と生まれていた。2日目に行われた記者会見でもメンバーはJAM’Sのみんなが歌詞を覚えて歌ってくれることに感動と驚きの気持ちを表していたが、確かにそれは驚くべき光景だった。「歌」を通じて結びついた、バンドとJAM’Sの親密で揺るぎない関係は、日本だけではなくここ韓国でも確かに育まれている。
「Soranji」の重厚なムードから一転、「familie」を軽やかに披露すると、ライブは早くも終盤に突入。“ミセスに見せたい景色がある”と記されたメッセージカードが場内にたくさん掲げられた(韓国のJAM’Sが自発的に考案した盛り上げだったよう)。「私は最強」の大合唱がハイライトを描き出したのち、若井から韓国語で「残念ながら終わりの時間がきてしまいました」という言葉が伝えられ、客席からは悲鳴のような声が上がる。それでも「今日は本当に楽しい時間でした。みなさんはいかがでしたか?」という問いかけに歓声で応えるオーディエンス。それを聞いた若井は「アッサ!(よっしゃ!)」とガッツポーズである。そんな若井に続いて大森も藤澤も韓国語を交えてコミュニケーションをはかると、最後に再び若井が「寒いので一緒にダンスしよう!」と呼びかけた。そう、ここで鳴らされるのが「ダンスホール」だ。同曲は韓国で最も聴かれている曲だけに、フロアは揺れんばかりにジャンプしている。大森が笑顔を見せながらステップを踏み、若井や藤澤とじゃれ合い、力強い歌を届けると、いよいよ最後の曲。「ケセラセラ」の優しくも頼もしいサウンドとメロディがオーディエンスひとりひとりの心を掴んでいく。もちろんここでもシンガロングが美しい光景を生み出し、ライブは最高のフィナーレを迎えた。
記念すべきミセス初の韓国単独公演。そのライブは「初」というのが信じられないほどに、JAM’Sとバンドの間の強い絆を感じさせるものだった。最初から最後まで歌い、ライトスティックを振り続けたオーディエンスの力が、間違いなくこのライブを特別なものにしていた。大森がライブ中に何度も韓国語で伝えていた「また会いましょう!」という言葉はきっとすぐに現実になるだろう。そしてそのときは今回以上の熱狂が、ここ韓国で生まれるに違いない。
Text by 小川智宏
Photos by 田中聖太郎写真事務所
◎セットリスト
【MGA LIVE in SEOUL, KOREA 2025】
2025年2月15日(土)、16日(日)高麗大学TIGER DOME
1. ANTENNA
2. ビターバカンス
3. Loneliness
4. 藍
5. 君を知らない
6. Feeling
7. Magic
8. ニュー・マイ・ノーマル
9. 春愁
10. Coffee
11. 青と夏
12. ライラック
13. インフェルノ
14. Soranji
15. familie
16. 私は最強
17. ダンスホール
18. ケセラセラ
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