“昭和のスパルタ式”で子どもに勉強させる夫、このままでいい？　小6母の悩みに中学受験のプロが指摘する夫の「間違い」とは

「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの？」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さん。今回は夫の教育方針に悩むお母さんからのご相談です。

MENU やり切る人と、やらされる人の違い 負の可能性から目を背けるのは「無責任」 やり切る癖をつけるのは「怖い」一面も

やり切る人と、やらされる人の違い

安浪：これはあるあるですね。たぶん、ご主人が中学受験をやった時はそういう時代だったんですよ。それで成功した原体験があるから、今でもそう言うのでしょうね。

矢萩：これ、「決めたことを最後までやり切る人」と「決めたことを最後までやらされる人」って全然違うと思うんです。

安浪：たしかに！

矢萩：このお父さん自身が小学生のときからやり切る人だったのか、それともやらされてきた体験をしていたのかによっても変わってくる話ですね。

安浪：成功体験があったとしても、そのプロセスによって解釈は違ってくるということですね。

矢萩：そうです。自分はやり切れる人だったから子どもができなくてもやれ、って言っているのか、言われてやってきた人なので、同じように子どもにも言っているのか。どちらにしても、目の前の子どもの性質も状態もスルーしてしまっているのは問題です。体調が悪いのに無理矢理やらされた勉強が効率的とは思えません。「その甘さが1点を逃す」というのも、僕が大手塾で教えているときに日常的に耳にしていました。ただ、その1点というのがいろいろなことを犠牲にしてでも勝ち取る価値がある1点なのか、冷静に考える必要があるのではないでしょうか。そもそも豊かな人生を送るために、受験するという選択をしているはずなのに、そのマインドを阻害してないですか？っていうところをいったん振り返ってほしいです。

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中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ／「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』（朝日新聞出版）が好評。最新刊は『中学受験　大逆転の志望校選びと過去問対策　令和最新版』（ダイヤモンド社）。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ／「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』（ダイヤモンド社）『新装改訂版　中学受験を考えたときに読む本　教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』（二見書房）。