ハイウィン 営業技術部次長:佐伯篤志さん(さいき・あつし)/愛媛県出身。様々な分野のIT/OT自動化技術者としてシステムを構築。台湾駐在歴(2003~14年)が長く台湾との縁が深い。20年にハイウィンに入社(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2025年1月27日号にはハイウィン 営業技術部次長 佐伯篤志さんが登場した。

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 製造業の現場では、少子高齢化などによる慢性的な人手不足が課題となっている。そこで活躍しているのが、人間に代わって働く産業用ロボットだ。工場の生産ラインの自動化や効率化を目的に、導入する企業は増加傾向にあるという。

 産業用ロボットは基本的に、人の手のように動く可動軸とアームを備えた本体と、動きをコントロールする制御装置、プログラムの操作や調整をする機器の三つで構成されている。

 これらを製造、販売する外資系メーカーの営業部門に所属。技術面の専門家として、導入を希望する企業に製品の特性や機能、操作方法などを説明する。

 産業用ロボットは関節の種類や構造によって動ける範囲や速度などの特性が異なる。関節が多いほど自由度が高く、なめらかな作業が可能になるが、その分コストが上がる。顧客の要望と予算に合った製品を見極め、カスタマイズしていく。

「この作業は難しいのですが、技術担当のメンバーたちと試行錯誤するのは楽しい時間でもあります。製品を組み合わせてプログラムを設定し、思った通りの動きができるようになった時は産業用ロボットの可能性の広がりが感じられてうれしくなります」

 安定して素早く長時間働けるロボットを導入するメリットは多いが、運用を誤ると深刻な人災を引き起こす。幸い納入した企業で労災事故は起きていないが、安全面での対策や教育は重要だ。

 そこで、実際に工場などでロボットを操作する人たちを対象に、定期的に講習会を開いている。労働安全衛生法で義務づけられている「産業用ロボットに関する特別教育」のインストラクターの資格を所有しており、2日間で必要な知識や技能を習得してもらう。これまでのべ200人以上に指導してきた。

「実際にロボットの操作を体験してもらうんですが、操作が初めての人も多いです。事故やトラブルを起こさないためには、高い安全意識が必要です。ロボットにできること、できないことをしっかり理解してもらうことにも力を入れています」

 今後は一緒に働く仲間をさらに増やし、製品をカスタマイズしながら今以上に価値ある製品を生み出していくことが目標だ。(ライター・浴野朝香)

AERA 2025年1月27日号

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