
「時代遅れな制度では、日本は置いてけぼりになる。一方で、アメリカはものすごいスピードで変わりつつある。日本には、大義に基づいて勇気を持って、どんどんアクションをとるような国士がいないということです」
義務教育で金融教育をこれほど大事な学問はない
「SBIグループの証券口座だけでも1300万口座、グループ全体で5100万もの顧客基盤がある。SBI証券は他社に先駆けて手数料をゼロにした。それにより、自分たちも投資をやってみようと思う人が増えた。若者たちは、今のままでいくと、自分たちはまるっきり年金をもらえなくなるかもしれないという恐怖感すら抱くようになってきているんだろうと思います。ただ、新NISAの(投資できる)金額も決して多くはない。次やらないといけないのはiDeCo(個人型確定拠出年金)。もっと制度として充実させる必要がある」
「(国内の)個人の金融資産は2200兆円あり、その半分が預貯金にまわっている。この状態は異常だと思いませんか。そして金利はほぼゼロ状態。金融所得が入らないんです」
「リスクを取る取らないで全てのことは決まってくる。資金の配分、これをポートフォリオと言いますが、例えば定期預金はリスクが極めて低い。株式はリスクが高い。どれだけの自分の資金をどこに配分するか、これを決めないといけない。本来ならば、義務教育で教えるべき話。中学を卒業して、社会に出る人もたくさんいるわけです。お金ができたらどういうふうに運用していくかと。金融教育ほど大事な学問はある意味ないんです」
──2025年に注目しているのは
「SBIグループは、2024年に創業25周年を迎えましたが、常に変革の先頭を走ってきた。金融の分野で言えば、トラディショナル(伝統的)なものからデジタルへとどんどん加速していく。それに遅れないように、政界にも、一般の人たちにも、声を大にして働きかけていきたい」
(構成/編集部・木村聡史)
※AERA 2025年1月13日号より抜粋