「THE W 2024」に挑んだ女性芸人の中でも注目株だったのがキンタロー。
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「AERA dot.」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は12月14日に「AERA dot.」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

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 12月10日、女性芸人限定のお笑いコンテスト『女芸人No.1決定戦 THE W 2024』(日本テレビ系)が生放送された。

『M-1グランプリ』が人気を博してからというもの、テレビでお笑いコンテストを見て、その結果についてあれこれ語り合ったり、ネット上で感想を書き込んだりすることが、1つの文化のようになっている。

 しかし、『THE W』の場合には、女性だけが出られるということばかりが注目されすぎていて、ネット上でもそのことに関連して何らかの意見を言っている人が目立つ。

「女性芸人は◯◯だ」「女の笑いは□□だ」などと、女性や女性芸人に対する偏見混じりの主張が飛び交っていたりする。このように『THE W』に関して女性をひとくくりにして何かを言おうとすると、事の本質からは外れていってしまう気がする。

特徴がないのが特徴

 私は『THE W』を毎年見ていて、予選会場に足を運んだこともある。そんな自分がこの大会を見てきて感じているのは、女性の笑いの特徴は「多様性」であるということだ。まとまった何らかの具体的な特徴があるわけではなく、多様性がある。女性芸人に共通する何かを挙げろと言われたら、そう答えるしかない。逆説的だが、決まった特徴がないということが唯一の特徴なのだ。

 しかも、この『THE W』という大会では、女性であればピンでもコンビでもトリオでもエントリーできるし、ネタは漫才でもコントでも歌ネタでも漫談でも何でもいい。つまり、人数編成もネタの形式も決まっていないため、本当に何もかもバラバラのメンバーばかりが出場者に名を連ねることになる。

 さらに、そういった形式面だけではなく、それぞれの笑いには質的な違いというものもある。この点に関しても、女性のネタは多様性に満ちている。それぞれの芸人がネタの中で表現しようとしている笑いの方向性が全く違っていたりする。

 そのため、『THE W』は審査員泣かせのコンテストである。そもそも比べようがない異質のものを無理やり比べているのだから、はっきりした正解が見つかるはずもない。今回、審査員の票と国民投票の結果が割れたケースも多かった。もちろん、どちらかが間違いというわけでもない。

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審査結果に「納得できない」