日銀は2024年3月の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決定し、7月に追加利上げを発表した。これを受け、一部の金融機関では住宅ローンの変動金利が0.15%から0.25%前後の引き上げとなった。今後、住宅ローンの変動金利が上がり続けたら毎月の返済負担はどのくらい上がるのか。
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金利上昇はゆるやかに続く
住宅ローンの金利は、「固定金利」と「変動金利」、一定期間中の金利が固定される「固定金利選択型」の3種類がある。変動金利とは、ローン返済中に適用金利が変動する可能性がある金利タイプだ。
変動金利の適用金利は、各金融機関の基準金利をもとにして金利を優遇、または金利が上乗せされて決定する。変動金利の適用金利が決定される条件は金融機関によって異なるが、一般的に半年おきに見直される。言い換えれば、変動金利は「6カ月固定金利」といえる。
現在は固定金利よりも変動金利のほうが適用金利は低い。国土交通省の調査によると、住宅ローンを借りている人の約8割が変動金利を選択している。
2024年10月から住宅ローンの変動金利が上昇傾向にあり、大手5行が既契約の変動金利の0.15%の利上げを決定した。
住宅コンサルタントの早坂淳一氏によると、主要12行の変動金利予測では、10年後の変動金利は1.1%台〜2.3%前後となっており、じわじわと上昇の一途をたどると考えられるものの、「極端な金利上昇は考えにくい」という。
利上げのみならず、物価上昇や増税などで暮らしの負担は増している。住宅ローンを借りる際は何に気を付けておけばいいのだろうか。
緩和制度「5年ルール」「125%ルール」の落とし穴
変更した金利が返済額に反映されるタイミングは、返済方式によって次のように異なる。
元利均等返済 |
5年ごとに返済額が見直されるケースが多い |
元金均等返済 |
金利変更に合わせて返済額が都度見直されるケースが多い |
住宅ローンを借りる際に知っておきたいのが、「5年ルール」と「125%ルール」だ。これは、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらず、かつ5年経過後の6年目からの毎月の返済額は今までの返済額の125%までと定めるものだ。例えば、元々の毎月の返済額が12万円であれば、金利変更時の毎月の返済額は最大15万円となる。