参院選前に続々と出版された政治入門書の中でも、もっとも軟派な本がこれ。おときた駿×4人のギャル男たち『ギャル男でもわかる政治の話』だ。著者は舛添要一前東京都知事の金銭疑惑を追及して有名になった無所属の都議会議員。レクチャーを受ける4人は、モデルやアーティストをやってる21~26歳のオシャレ男子だ。
 政治にも選挙にもまったく興味がないという若者にどの程度の知識があるかがまず興味深い。「現在の総理大臣が所属している政党はなに党ですか」という問題に「自民」と書いたトシキ君。みごと正解するも〈迷ったんですよね、二択で〉。一方「民主」と解答したレン君は〈近所でよく選挙のポスター見るから、民主党であってると思ったんだけどなあ〉。
 ここで「君らはアホか」などとドヤさないのがおときた先生の偉いところで、〈惜しかったね。でも選挙のポスターを見たっていうのはいい指摘で、選挙っていうのは、個人を選ぶだけじゃなくて、政党を支持するという側面もあるんだ〉とすかさずフォロー。
 政党政治を教えるためにマンガの『ワンピース』を例にとり、〈『ワンピース』には「麦わらの一味」とか「白ひげ海賊団」とか、海賊団がいくつかあるよね?〉と説明するおときた先生。トシキ〈チーム戦なんですね〉。おときた〈まさにそう。有権者にとっては、好きなチーム=政党さえ決めれば、個別に人=政治家を選ばなくていい、というメリットもある〉。レン〈ファンになる、みたいなこと?〉。おときた〈個々のメンバーの考え方を把握していなくても、海賊団自体に投票すればOK、ということだね〉。レン〈おお、それなら投票しやすい!〉。
 マンガやアニメや人気アイドルを例にとっているので、中高年にはかえってわかりにくいと思うけど、いやーマジで勉強になりました。このレベルから伝えなくちゃ投票率は上がらないのだ。
 名言も多いです。〈資本主義は自由恋愛! モテれば天国、モテなきゃ地獄!?〉。そして〈社会主義はお見合いだね〉。まさに。

週刊朝日 2016年7月22日号