丸川珠代氏(撮影/上田耕司)

「ウチにあいさつも来ない」

 今後の政治活動については、

「(議員)バッジはついていませんが自民党の一員であることには変わりはありません。自民党がしっかりとやり直していける、地域の仲間と一緒に、もう一度ちゃんとしたスタートが切れるようにしっかりと力を合わせていきたいと思います。どうも、ありがとうございました」

 と言って、もう一度頭を下げ、去って行った。

 丸川氏の選挙事務所の付近にある食品ストアの店主はこう話す。

「ウチはここで90年商売をしているけど、丸川さんの事務所が近くに来るとは思わなかった。まあ、丸川さんは渋谷が拠点の人だから、本人はウチにあいさつにも来てないね。商売をしていると、ウチなんかでも、1円単位で税金でしっかり持っていかれるから、そういうことをちゃんとやらずに、裏金(をつくる)っていうのはダメだよね。私は保守的な考え方だしこれまでは自民党に入れていたけど、今回は丸川さんには入れませんでした」

 近くにある居酒屋の店主はこう話す。

「この辺は富裕層や会社経営者が多いエリアですから、丸川さんの裏金問題にもシビアで、冷ややかな雰囲気ですよ。どこが問題かをよくわかっているんです。店の近くを丸川さんが乗った赤い選挙カーが通っても、お客さんは『お前、悪いぞ。だませないからな!』と言っていたくらいですからね」

 丸川氏に対する有権者の怒りは想像以上だったようだ。だが、前出の区議は「本当は負けるはずのない選挙だった」と語り、選挙戦をこう振り返る。

「港区の区議は自民11人、立憲3人、公明4人です。今回、公明党さんからは推薦が得られませんでしたが、立憲につくことはないと思いますので、本来なら負ける可能性はなかったんです。今回は(自民党が非公認の候補者に支給した)2000万円にトドメを刺されたような感じ。われわれが厳しい立場にあるということを党本部にも気づいてもらいたかったですね」

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