お祝いの撮影について「外部のカメラマンは撮影できません」という神社の注意書き=米倉昭仁撮影

出張カメラマンによる撮影を禁止した神社も

 クレームが神社に寄せられれば、撮影のルールや規制が厳しくなる。

 寒川神社(神奈川県寒川町)、太宰府天満宮(福岡県太宰府市)などは出張カメラマンの撮影を許可制にしているが、明治神宮(東京都渋谷区)、熱田神宮(名古屋市)、住吉大社(大阪市)などのように、「出張カメラマンによる撮影は一切禁止」とする神社も増えてきた。

 東京西部のある神社は2年ほど前に出張カメラマンによる撮影を禁止した。

「賽銭箱の前で1時間もカメラマンに陣取られてしまうと、他の参拝客がお参りできません。そんな状況が何回もあって撮影を禁止しました」(東京西部のある神社の広報担当者)

 だが、子どもの「親族」「両親の友人」だと言い張り、個人撮影を装って規制をかいくぐろうとする出張カメラマンもいるという。

「撮っているのは友人だからいいだろうって。でも、撮影機材や撮り方からプロだと判断した場合は、撮影を中止してもらい、全撮影データを消去してもらいます。困っているのはうちだけじゃないと思います」(東京西部のある神社)

七五三の写真は家族にとって宝物になる。マナーを守って撮影したい=織田隆一さん提供

「プロ」カメラマン急増の背景にマッチングサービス

 これまでも「鉄道」「祭り」などの撮影現場で、撮影者のマナー違反はたびたび問題になってきたが、基本的に「アマチュア」カメラマンによるトラブルだった。記者は長年、写真雑誌「アサヒカメラ」の編集者だったが、「プロ」カメラマンがトラブルを引き起こすなど極めてまれだと思っていた。いったい何が起こっているのか。

 取材を進めると、撮影トラブル急増には、出張撮影が手軽になったこと、「プロ」カメラマンが急増したことが関係している状況が見えてきた。多くの神社関係者が出張撮影専門の「マッチングサービス」の存在を指摘した。

 撮影してほしい人と出張カメラマンをつなぐインターネット上のサービスで、出張カメラマンの多くが登録している。

 その先駆けが、2015年にサービスを開始した「Lovegraph(ラブグラフ)」で、翌年、「fotowa(フォトワ)」「OurPhoto(アワーフォト)」などが続いた。

撮影について呼びかける神社のホームページ(住吉大社_大阪市)
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